井口まみ
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後援会のバスハイクは、富士山がくっきり!しかし取水ぜきは衝撃でした

朝はどしゃぶりでした。ところがバスが走るとともに空が明るくなり、午後にはすっきり晴れて、忍野八海からは富士山がくっきり。日ごろの行いのよさが現れた??

DSCF8680 今年のバスハイクは「富士山を眺めながらの温泉と富士山五合目」が目的でした。ところが、女湯からは富士山が見えず、予定時間にレストハウスに電話をすると五合目は「嵐とはいいませんが、ちょっとたいへん」とのこと。これは富士山とは会えずじまいかな。まあ、富士山は美人が来ると隠れるっていうから、あきらめるか、と思っていたのです。温泉はきれいで、お湯もぬるめでゆっくりはいれたし、食事はなかなか豪華だったし、満足して、行く先を忍野八海に変更して、きれいな水をみてたのしんでいました。そしたら最後にこの富士山だったのです。もうじゅうぶん満足!

最初はまったく予定になくて、急きょコースに入ったのが、神奈川県内広域水道企業団の飯泉取水ぜきの見学です。実はこれがもっともみんなの心を捉えた衝撃的なポイントでした。

せっかく近くまで行くので、めったに見られない小田原市の飯泉取水ぜきを見学しようと、途中から話し合って、チラシを作ってからあとから追加しました。飯泉取水ぜきというのは、川崎市が計画通り生田浄水場を廃止し、多摩区の地下水の取水をやめたら、水源をおおきく神奈川県内広域水道企業団の水に切り替え、川崎市民が飲む水のほとんどを取り入れる水源地点です。酒匂川の河口からわずか2キロ。川崎から遠く56キロも離れていて、巨大なポンプで延々と水を運んでくるといいます。それがどういうところか、どんな水なのかぜひ一度見てみたいと思っていました。

バスを停めるところがないので、門の中に入れてくれませんか、と川崎市の上下水道局を通じて企業団にお願いしたら、日曜日にもかかわらず企業団の部長さんと取水ぜきの所長さんが出てきていただけることになりました。そのために川崎市の部長級の職員も随行してくれることになりました。そのことを関係者にお知らせしたら、「それならいっしょに行く」という申し込みが次々にあって、改めて水の関心の高さを感じました。

DSCF8640 会議室を用意していただき、所長さんから施設の説明を、技術部長さんから私たちの素朴な質問にていねいに答えていただきました。ここから水を運ぶために設置されたポンプは、出力が東洋一大きいこと、そのため、そんなにおおきな自家発電装置がなくて、停電になれば水が止まってしまうこと、流域が広くいろんな所を流れてくるため、年に何件か異物が混入し、取水停止をする事故がおきていること、農薬が混じるといけないので農協と提携して情報をもらったり、川の周辺に一般市民によるモニターを置いて、なにかあったら連絡をもらうようにしているとか、川崎ではわからないことがいろいろあることがわかりました。そして、実際に取水堰とポンプを見たのです。

  DSCF8648今日は飯泉取水ぜきはちょっと特殊な状況でした。9月8日の台風による酒匂川上流の土砂崩れで、水がにごったまま回復せず、さらに昨夜の大雨で、また土砂がどんどんと流れ込んで、水が最高ににごっているのです。しかも、その台風で流された自動車がぺちゃんこになって堰の下流に放置され、ほかの車の屋根が見え隠れするという、ちょっと衝撃的な風景でした。酒匂川というのは、日本でも有数の勾配のきつい川で、上流の土砂などがどんどん流されてきます。土砂ですから、とればきれいになるのですが、生田の地下水に比べたら、それは数倍どころではない処理の手間がかかることでしょう。いろんなものも取り込んで、それこそ自動車も飲み込んで流れてくる川なのだと改めて感じました。生田は地下水ですからこういうことはもちろんありませんが、もう1つの自己水源である相模湖も、地上を流れる距離はこんなに長くないので、土砂の量もこれほどではないのではないかと思いました。

DSCF8656 ポンプ場は、川崎の生田浄水場のポンプ場よりもちょっと広いかなというくらいの部屋でした。しかしそれが生田の10倍以上の出力の、東洋一のポンプなのだそうです。消費電力も半端ではありません。6万ボルトの送電線が引き込まれています。それで、標高差70メートルあるところまで持ち上げるのです。川崎まで来るには、さらに相模原でもう一度ポンプで持ち上げなければ送ることができません。「延々と」というとなんだか自然に水が流れてくるような印象を持ちますが、実はむりやり持ち上げているのだとわかりました。あらためて、水源が市民のそばにあることの大切さを感じました。

DSCF8664 この水を見てから、山中湖に行き、最後は忍野八海で富士山の水を汲んできました。いっしょに行った保育園の子が忍野八海で「ここのお水はきれいだねえ」。今回は水にはじまり水に終わった旅でした。それにしても、私は富士山5合目に行きたかった。またいつか挑戦してみたいと思います。