井口まみ
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ムダづかいツアーに行きました

平日の昼間という呼びかけだったのに、24人も集まり、マイクロバスは満員でした。多摩区からはめったに行くことのない川崎の南側で何が起きているのか、私たちの税金はどう使われているのか、しっかり見てきました。

行程がバラエティーに富んでいます。最初に川崎市港湾局の巡視艇に乗って、海から川崎を見ました。そのあと川崎市港湾振興会館(通称:マリエン)の10階展望台から港全体を眺め、次に浮島のごみ焼却場の屋上から、建設中の浮島メガソーラー(東京電力の巨大な太陽光発電所)を眺め、最後に多摩川の岸辺から殿町3丁目地区(神奈川口構想の現地)を見ました。私は、ツアーコンダクター兼解説者をやったので、朝からずっとしゃべりっぱなしで、うちに帰ってきたら言葉が出なくなるくらい疲れましたが、この現場は何度見ても飽きない。市政というのは、どこにお金を使い、どこで節約するのかをしっかり考えなければならないということを、つくづく考えさせるところとして、何度通っても学ぶこと、思うことがあるのです。今日もホントに面白かった。

 DSCF8740 海から川崎港を見ると、港でいかににたくさんの物流がおこなわれているか、その躍動、息吹を感じます。巨大なLPG輸送船が目の前を通り過ぎたり、新車を5000台は載せられるという自動車運搬船が停泊していたり、日本に3つしかないという果物専用の埠頭にドールの船がいたり、石油を精製している巨大なコンビナート、製鉄会社に横付けされている鉄鉱石運搬船などなど、経済が動いているなあということを実感します。そして、いまだに、公害の原因である有害物質をはきだし続けていることや、地震の際のコンビナートなどの安全性が大問題になっており、まだまだ課題があることも、さびたパイプを目の当たりにすればやはり実感できるのです。

P1020696そして、みんなが感想でも言っていたのは、そんな川崎港の中で、時間が止まったように何も動きがないのが、コンテナターミナルです。今日も船が入っていませんでした。コンテナもほとんど積まれておらず、広大な空き地にぽつんと2基の巨大なガントリークレーンが取り残されているというふうに見えます。これを何で4倍にしなければならないのかまったく納得がいかない。今日の参加者のほとんどが港に来るのは初めてで、「「聞いてはいたけど、こんなにでかいものだとは思わなかった。こんなことに私たちの税金が使われていくのか」と怒り心頭です。

DSCF8722 メガソーラーというのは、川崎市が所有する10ヘクタールの埋立地に、東京電力が約7000キロワット、一般家庭で2100世帯分の電気を発電するために建設しているものです。そのこと自体は別にいいのですが、問題は川崎市が東京電力に便宜を図っているその内容です。なんと、この10ヘクタールの土地は、18年間無償!ただで貸すのです。まともに土地評価額で賃料を取れば年間5億はくだらないといわれています。いろんな特別措置を使っても1億はかかるとのことです。これでは東電の社長が「格段のご配慮をいただいた」というわけです。さらに、この建設を機に、川崎市が隣接する浮島処理センターにもっていたゴミやリサイクルについて学習する建物を2億円で全面改修し、太陽光発電や自然エネルギーについて学ぶ学習施設を作ります。東京電力は売電した利益のなかから年間2000万円を川崎市に出すといっていますが、それはこの学習施設の維持費でなくなってしまうそうです。天下の大企業の東京電力にはこうした特別扱いをしてあげるわけですが、今日参加した人の中には小さな工場を持っていた人もいます。不況で借りていた工場の土地代も出すことができなくなって結局廃業した仲間もいるのです。そういう人に市有地を無料で貸してくれるのか。特養ホームや保育園はどうなのか。このほんとに広大な土地を見ていると、土地を持って帰りたくなります。

神奈川口構想は、いすゞ自動車の工場跡地約37ヘクタールを、環境・ライフサイエンス分野の研究所や工場などの誘致で産業を活性化させようというものです。多摩川には橋かトンネルをかけて、話題の羽田空港から少しでも早くこられるようにして、人も物も金もいらっしゃいという構想です。当面、1・3ヘクタールを市で23億円でぽんと買い上げ、研究施設を誘致しています。説明していてもそれで「本当に産業が活性化して、川崎が元気になる」って思えない。いま地道に暮らしている人たちからさんざん搾り取って、そのお金で土地を買って、誰か来てください、っていうのが産業政策なのか。茫漠とした更地を見ていると、毎日の生活に苦しむ中小零細業者の皆さんの顔が浮かんで、苦しくなります。

今日の参加者の皆さんとは私のいろんな思いを共有できて、私も元気になりました。市長がこのごろまた「お金がない」キャンペーンをはりだしましたが、ないのではなく、使い道が間違っている。このことを大きな声で言って歩きたいと思います。

ツアーコンダクターは現地で写真を撮る暇もなく、ここで使っている写真は全部が今日撮った写真ではありません。先日は議員団としても同じようなコースを回り、全市でこうしたムダづかいツアーをしようと話し合ったところです。多摩区ももう一度やりたいと思っています。今度は日曜日にしますから、ぜひごいっしょしましょう。