井口まみ
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帯広市と釧路市に行ってきました。勉強になりました!

DSCF8748 前々から行きたいと思っていた帯広と釧路。2日間でみっちりと勉強してきました。帯広市は中小企業振興基本条例をつくり、金融機関とも密接に連携して経済の「域内循環」を目指しています。釧路市はさらに「産消連携」という新しい言葉を作って、どちらも「地域の中で経済を循環させて、活性化を図る」ということに全力を挙げています。

また、釧路市では、生活保護受給者の自立を「人間らしく生きる」という観点から支援する有名な取り組みを直接聞くことができました。短時間でしたが帯広市で聞いた高齢者の配食サービスは、川崎でぶつかっている問題をクリアしていて、「なんだ、できるじゃん」と思わせる内容でした。どれも「そうかあ。こうすればいいんだ」とまさにあすへの活力になる内容でした。

中小企業振興基本条例は、川崎でも10年ほど前に、東京都墨田区の条例を参考にして、直接請求署名までやって市に求めたものです。しかし当時の高橋市長は「中小企業振興はとっくにやっている」と条例化を拒否しました。同じ時期に帯広市でも共産党の議員が「墨田のような条例を作れ」と求めていました。帯広市はそれを真剣に検討していたのです。墨田の例とは、地域内の中小企業の実態を区の職員自身が、幹部を先頭に直接出向いて細かく調べ、その地域の特性に合わせた支援の方法を地域の経済界の皆さんや市民と具体的に相談して、「中小企業の振興こそが地域経済の発展の道」という理念を条例にするとともに、融資だけでない具体的な経営への支援や、高価な工作機械が共同使用できる会館の建設などをおこなったことです。帯広市は、それをほんとうに地域のニーズに合った形で展開しようと、コンサルタントを使わず、繰り返し協議会を開いて、バトルのような議論を積み重ねて、条例を作り、大学の学者を呼んで学習しながらビジョンを作り上げました。その過程はいかに自分の町を活性化するかというおもいにあふれたものした。

帯広は金融機関との連携が特徴的です。帯広信用金庫が「地域の中小企業の支援こそ地方金融機関の役割」と、日銀からヘッドハンティングまでして中小企業の経営相談の担当者をつけ、土日や夜も相談できる窓口を設置。ほかの銀行では融資してもらえないような企業でも、経営相談をしながら励まして融資しています。これが起業を促し、活性化に大いに役立っているそうです。もちろん市も、保証料を全額補助などしています。

釧路市もそうです。釧路の条例は前文が条例全体の半分を占めるくらいとても長いもので、釧路を開拓した先人の紹介から始まり、漁業で栄えた歴史を述べるなど、条例制定に携わった商工会議所や市民の皆さんの思いがいっぱいあふれています。原案はもちろんお役所的なものでしたが、みんながどうしても書きこみたいと、こうなったそうです。市民の手で作った条例だなあとまず感動しました。役所の中で起きていることはみんな経済活動に通じる、と、教育委員会や福祉の部署と円卓会議を作って、いかに地元の企業と連携するかということを知恵を絞っているという職員の熱意にも感動しました。

生活保護の話は別の項で書きたいと思います。感動の連続でした。どれも1時間や2時間では尽くせない内容なのですが、とにかく駆け足で電車や飛行機のぎりぎりの時間までお話を聞くというせわしい日程で、ただ空港と市役所にいただけでした。中小企業振興の担当の方からは「皆さんの宿泊やお土産も経済効果ですからね」といわれましたが、あまり貢献できずに帰ってきました。今度はゆっくりと行きたいものです。