井口まみ
井口まみ井口まみ

農業委員会で視察に行きました

今年1年間は、議会の推薦で農業委員をやっています。今日は、県内の農業施設などを見学して、川崎の農業振興に役立てるための視察です。議会推薦の4人と農協推薦の1人をのぞく20人が現役の農業者で、畑はとても忙しい時期ですが、議員2人を除く全員が集まって、県西部へ行ってきました。

DSCF8772 まず、小田原市の農産物直売所「朝どれファーミ」へ。農協が経営する直売所で、川崎の「セレサモス」と同じ時期に同じ規模で開設されました。同じ規模になったのは、国の補助金に面積の上限があったからだそうで、売り場面積がほぼ3000平米。駐車場は川崎よりも広くて90台。売上げもどうやら大して変わらないようです。川崎と何が違うのかといっしょに行った人に聞いたら、「市内の野菜の割合が川崎のほうがずっと高い」ということだそうです。これだけの広さを埋める生産物を集めるのが本当にたいへんで、どうしても県外産の野菜などを持ってこざるを得ない。そうすると、買い物に来る人は、期待はずれで買わなくなってしまうのだそうです。それはこの小田原も川崎も同じ。そこでいかに農家にがんばってもらって地場の野菜を集めるか。そこに人気はかかっているということで、苦労されていました。特に今年は異常気象で、思うように品物が集まらず、とても苦労されているようです。ということは裏返せば、地元の野菜を増やせば販路があるということであり、もっと農家の皆さんが生産できるようにすればいいのではないかと、あれこれ策を考えさせられました。野菜は川崎で買えばいい、と思い、本場小田原みかんと、「太秋」という始めてみる大きな柿(1個300円!)を買ってきました。

DSCF8775 次は松田町「松田山ハーブガーデン」です。川崎市も麻生区早野という農業振興地域の一角でハーブ栽培で地域振興をするという事業に乗り出しています。どういう形にするのかまだ定まっていないので、いろいろ見てみようというわけです。ここは、切り立った丘の中腹にへばりつくようにハーブを植え、遊ぶところを併設している町営の農業と観光の施設のようです。平日でほとんど人がおらず、ハーブも花が終わっているようでしたが、よく手入れをされていて、きれいなところでした。ハーブを使ったアロマや石鹸などのショップや、レストラン、体験工房などもありましたが、川崎から行った人たちが知っていたのは、2月、河津さくらが咲く公園、ということだそうです。ハーブでまちおこしというのはなかなかイメージがわかないなあ、というのが実感でした。

最後に南足柄のビール工場に寄って帰ってきました。まあこれは余興みたいなものですが、しかし、私としてはちょっと思うところがありました。きれいな水がほしいからと、この山奥に東京ドーム9個分の土地を買って、その半分の面積に工場を建て、1年間に4億本のビールを作っているそうですが、ここで働いている人はなんと、80人!ほとんどオートメーション化されているのです。大企業が進出しても雇用の確保にはならないのだなあ、と、広い工場を見学しながら思ってしまったのでした。

けっこう長く乗ったバスの中では、「TPPなんて亡国の論理だ」という話で盛り上がり、「農業をつぶしてもいいなんていう政治は許せない」ということで一致しました。農家だからそういうというだけではなく、「もし日本に農業がなくなったらどうなるか。レアアースが輸入できなくなってこんなに大騒ぎしているのに、米も麦も肉も野菜もみんな輸入に頼ってしまって、もしなにかあったらどうするのか」と、みんな真剣に日本の行く末を考えていました。でも、共産党がTPPに反対しているというのはなかなか伝わっていなくて、これはもっとお知らせしなくては、と思いました。

DSCF8770 お天気もよくて富士山もよく見えました。先月はまったく雪がなかったのですが、今日は北側に流れるような雪化粧。農業に関するいろいろな話がたくさん聞けて、とても勉強になった視察でした。