井口まみ
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困っている人に私たちはなにができるか‐制度と課題を学習しました

  CIMG5624ハローワークや労働基準監督署などで働いている人たちの労働組合があります。今の深刻な就職難、派遣切りなどという事態に、直接対応を迫られている部署にいる人たちです。その組合の副委員長の河村直樹さんから、直面している問題をどう解決するか、課題は何かという話を聞くため、共産党の市議団で学習会を開きました。

おととし年末の年越し派遣村の現場にもいたそうです。一日目は人が少なくて、2日目からどっとやってきた。日比谷まで来る交通費がなくて、群馬から自転車で来た人、静岡から歩いてきた人などだったのです。もう携帯も切れて、ネットカフェにも行けず、派遣村を知らなかった、「まちかどの電気屋のテレビで偶然見た」「落ちていた新聞で見た」と、情報から全く切り離されていたことも、すぐ来られなかった理由だったそうです。記憶を失っていた青年もいたそうです。「路上で寝るということは、本当に怖いことなのです。何とか日銭を稼ごうとあちこちでいろんなことをするんだけどついに万策尽きる、ついに路上に寝なければならなくなった。そのつらさで記憶を失ってしまったようです」という話に、思わず涙が出ました。その時は河村さんが、たまたま激励に来ていた小池あきら参議院議員(当時)を連れてきて、その場で診察し、入院の手続きを取ったということでした。

「こういうときにハローワークは役に立たない」。河村さんは言います。住所がなければ履歴書を書けないからです。生活保護でアパートを借りるところから支援が始まります。いざ就職を探す段になると、まず、履歴書にはる写真のねだんが高い。だから派遣村では、デジカメとプリンターをもって無料で取ってあげるのが、いちばん役に立っているという話に、いよいよ深刻な実態が身に迫ってきました。しかし、いまはたった1人の求人に100人が殺到することはざらです。履歴書を書いても書いても落ちる。自分はこの世の中に必要ない人間なのかと思ってしまうのだそうです。「相談に来た方には必ず『何人受けたのか聞いて来てください』とお願いしています。100人の中から落ちたのならあなたのせいではありません、とはげまし、次の手をいっしょに考えます」。

民主党が目玉にしている就業支援の制度の仕組みも話していただきました。しかし、どれもほんとに使えないのです。聞けば聞くほど、いかに実態にあっていないか、よくわかります。なかには、あまりにずさんな制度設計で中止になってしまったものもあるのです。そのなかで、これは必要だ、と言われたのが、職業訓練でした。いまは、タクシーの運転手さんも報告書はパソコンで書く時代だそうで、パソコンができると就職の幅がだいぶ広がるので、それを訓練するとか、介護の資格を取るとか、そういう教育を受けるあいだ、生活費を10万円支給する制度です。「そうだ、あの人に紹介してみよう」と何人もの相談者の顔が浮かびました。

国がまともに必要な支援策を打ち出せないのは、理由ははっきりしている、と河村さんは言います。儲けるだけ儲けたい人たちにしてみれば、労働者は安く使うものであって、守るものではないからです。労働行政はそういう社会の中でいかに労働者を守るかという憲法や労働基準法の立場でやってきたので、大企業のいいなりの政治にはとても抵抗があるといいます。自治体も同じです。国や自治体が本当に困っている人たちの実態に心を寄せた政策を打ち出さない、川崎市も独自の対策はまったくやろうとしない。そういうときには、私たち日本共産党が「こうすればこういう人たちを救える」という具体的な提案を示していかなければならない、と、この役割の重大さを感じました。