井口まみ
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予算審査特別委員会質問は、防災特集!

SONY DSC「首都圏直下の地震が起こったら、最大震度は7になる」という発表があって、研究者によっては、「4年以内に50%の確率」ともいわれて、巨大地震はいよいよ現実味を帯びています。市民の命を守る自治体運営にかかわっているものとして、「やるべきことをしなかった」という反省をしてはならない、と強く思っています。防災の課題は山ほどあるのですが、とにかく一つずつ、と思って、今回は3つとりあげました。

①家具転倒防止事業

阪神大震災でなくなった方の8割は、倒れた建物と家具による圧死でした。建物の耐震補強とともに、家具の転倒防止対策を本当に急ぐ必要があります。川崎市の事業は、ひとり暮らしの高齢者、障害者か、高齢者だけの世帯に無料で金具を取り付けるもので、申込期間が9月の1か月のみとなっていて、毎年70件くらいしか申し込みがありません。問題だと思うのは、これが健康福祉局の事業で、高齢者や障害者以外は全く対象にしていないということです。

神戸市では、「耐震促進室」という部署を特別に作って、建物の耐震化と家具の転倒防止を一体に進めていて、家具の金具取り付けは、高齢者、障害者、子どものいる世帯であれば、工事費の半分を補助しています。さらに、もっと急いで進めようと、町内会やマンションの管理組合が10軒以上の工事をまとめて申し込むと、費用は実費ですが取り付けに専門家を派遣してくれます。これがとても好評のようです。

私は、とりあえず、今の健康福祉局の事業を、1年間通年で申し込めるようにすることと、もっと周知することを求め、これは検討することになりました。さらにもっとひろげて、全市民的に普及することについては、砂田副市長が「家具の固定化はまだ市民の間に浸透していない。全庁的な連携で積極的な周知・啓発を図る」と答弁しました。補助を増やさなければ推進にならないと思うので、いっそう追及が必要です。

 

②下水道の耐震化

下水処理施設が被災していつまでも復旧しないなんてことになったら本当に大変です。耐震対策の様子を聞きました。そしたら、なんと、下水管の耐震化率は25・5%、処理場やポンプ場などの施設はわずか11・6%とのこと。びっくりしました。耐震化の目標は平成25年度までにそれぞれ約27%にするということまでは決まっていますが、いつまでに100%にするかという目標がないことがわかりました。「できる限り前倒しして取り組んでいく」と言っていますが、これでは従来の延長線上になる危険がある、と批判しました。

 

③水道の耐震対策

水が止まったら、川崎市には「応急給水拠点」というところが138か所あります。どのおうちも完全に復旧するまではここで水をくむことになります。水源から浄水場、配水池、管路までが完全に耐震化されていれば、水に困ることはありません。耐震管路の敷設に全力を挙げることはもちろんですが、そのほかの施設についてどうなっているか聞きました。なんと、配水池の耐震化率は1・6%。全くこれからです。急ぐように求めました。「平成30年度までに6割という目標を引き上げ、30年度に100%にする」ということでした。これ以上急げないというのです。でも、急いでほしいと要望しました。

川崎市内は耐震化が終わっても、水源からの導水管はどうか。相模湖から上九沢分水池までは横浜市などとの共同施設ですが、ここはまだ。神奈川県内広域水道企業団の飯泉取水堰からの56キロにいたっては、これまで問題にしてきたように、リスクだらけで、とても手が付きません。仙台市に聞き取りをしたら、仙台市では4つの浄水場それぞれに違う水源があって、どれも耐震化が終わっていたので、給水管さえ復旧すれば水が来たとのことです。あらためて、水源と浄水場をいくつも確保することを求めました。

 

いくつも質問して、つくづくわかったのは、耐震対策というのは、確実に実効性が上がっているということでした。下水管も水道管も耐震対策をすれば、仙台でも浦安でもちゃんとつかえたのだそうです。住宅の耐震補強も、津波が来なかったところでは明確に対策をしたところとしなかったところの差ができたのだそうです。それは、大きな地震を何度も経験し、そのたびに大きな犠牲を払って、そして手にしてきた技術やノウハウです。対策を取れば救える命がある。救えたはずなのにできなかったということが絶対ないように。その思いを一層強くしました。