井口まみ
井口まみ井口まみ

児童養護施設は社会のありようで必要になる

児童委員研修民生委員をやっています。民生委員は同時に児童委員という仕事も兼任することになっていて、児童委員の研修会に参加しました。

箱根町にある恵明学園という、戦後直後からある児童養護施設の理事長さんが講演を行いました。1時間半に及ぶ熱のこもった講演で、たくさんのことを学びましたが、一番印象に残ったことを2つ。

なにより、そうなのか、と思ったのは、児童養護施設に入所する子どもが増えたのはいつか、という問題です。阪神大震災や東日本大震災でたくさんの孤児が生まれたといわれているが、その子たちはほとんど児童養護施設には来ていない。親戚や地域の人たちが温かく受け入れているからで、天災では児童養護施設は必要とされないとわかったといいます。児童養護施設が必要となった1回目は戦争が終わった後の戦災孤児。つぎは、バブル崩壊後の経済困難の時期だというのです。つまり、社会のありようが、児童養護施設という存在を必要としてしまうのだといいます。親の貧困、働きたくても働けない実情、こうしたことが子どもたちの幸せに生きる権利を奪っているということを示しています。

もうひとつは、入所している子どもたちの75%が虐待によるもので、普通の生活習慣も身につけることができず、人間不信になっている子もかなり多いというのが実態だということです。かつては里親さんにお願いしても大丈夫な子が多かったが、いまは、なかなかうまくいかない。しかし国は、里親制度をものすごく強力に推進しているといいます。施設は足りず、川崎市からも20名以上お願いしているそうです。

施設の運営は財政的に本当にたいへんで、神奈川県が「お金がない」と言いながら、むだづかいをしているということも言われていました。「ぜひ見に来てください」といわれたので、一度うかがってみたいと思います。