井口まみ
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子育ての大原則ってなに?―NHK番組のプロデューサーが語る

研修会多摩区民生委員児童委員協議会の研修会で、NHKの「すくすく子育て」という番組を制作しているシニアディレクターの長野恭子さんの講演を聞きました。テーマは「子育て感の今昔」。

毎週土曜日午後9時からEテレでやっている「すくすく子育て」、私は全く見たことがありませんでしたが、子育て世代ならだれでも知っている番組だそうで、子育ての悩みを取材映像を交えながら視聴者と専門家がスタジオで意見交換するという、題名は変わっていますが内容としてはかなり長寿番組だそうです。子育ての悩みを募集し、悩みを具体的に取材して、専門家に意見を聞く。この流れの中でたくさんの若いお父さんやお母さんに接してどう感じているか、長野さん自身が、いま18歳と15歳の男の子のお母さんで、自分の子育てと照らし合わせての率直なお話でした。

番組に寄せられる質問や悩み、取材先で出会い、スタジオに来るパパやママを見ていて思うこと、たくさんあげられました。まず、真面目すぎるほど真面目だというのです。そして完璧主義で、「頑張らなくては良い結果は出ない」と真剣に悩んでいる。すぐに結果が出ないと悩み苦しむ。私たちのころも「育児書に頼りすぎ」とよく言われたけど、この世代の人たちはバブルがはじけて、就職氷河期の真っただ中だったので、「努力しても報われない、しかし何かしないと生きていけない」というとても厳しい時代のなかで、子育てにもものすごい努力を注ぎ、子どもには夢を持ちたい、と思っているのではないか、と言われます。

いっぽうで、「生活の基本的な知識がない」。よく噛む食材を食べると頭がよくなるといわれたからと、歯が3本くらい生えたくらいの子に、昆布を与えて「食べない」と悩む。その悩みのほうが深刻です。

番組のコンセプトは「社会とつながろう」ということで、いつも、地域にある子育て支援につながるように報道しているということです。その大きな役割を私たち民生委員が担っているのですが、民生委員は圧倒的にシニアの人たちが多く、男性も多いので、こういう若いお母さんたちの様子がわからないと、温かく迎えられないなあ、と改めて思いました。

長野さんは最後に、4月6日の放送のテーマだった「子育ての大原則ってなあに」の結論を紹介しました。問いかけは「子育てはこんなはずじゃなかった、の連続。自信を失う時も。そんなときどうすれば」。それに対して、専門家が「子育ての原則は『愛し、愛される子どもを育てる』こと」「『生きるって楽しい』と感じさせ、『この子らしく生きていく』と信じること」と述べ、ほんとにシンプルなことだと。

いま思えばそうなんですよね。肩の力を抜けるかどうか、そういう支援をできるかどうか。私たちにかかっているんだなって思います。