井口まみ
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私たちは世界の常識を身につけているかーオリバー ストーン監督の演説に思う

 

oribaこの写真は、田村智子参議院議員がFaceBookにアップしたものをシェアしました。長崎の原水禁世界大会の式典で、なんと映画監督のオリバー ストーン氏のすぐそばに座っていたというのです。オリバー ストーン監督は、8月5日、広島の原水禁世界大会で演説を行ったと報道され、その映像はYou Tubeで見ることができます。演説の和訳がFaceBookに出ていて、ものすごく考えさせられました。

全文は長いのですが、ちょっと引用すると…


「平和」そして「核廃絶」のような言葉が安倍首相らの口から出た。でも私は安倍氏の言葉を信じていない。

第二次大戦で敗戦した2つの主要国家はドイツと日本だった。両者を並べて比べてみよう。ドイツは国家がしてしまった事を反省し、検証し、罪悪感を感じ、謝罪し、そしてより重要な事に、その後のヨーロッパで平和のための道徳的なリーダーシップをとった。

ドイツは、60年代70年代を通してヨーロッパで本当に大きな道徳的な力となった。平和のためのロビー活動を行ない、常に反原子力であり、アメリカが望むようなレベルに自国の軍事力を引き上げることを拒否し続けてきた。

2003年、アメリカがイラク戦争を始めようというとき、ドイツのシュローダー首相は、フランス、ロシアとともにアメリカのブッシュ大統領に“No”と言ったのだ。しかし、第二次大戦以来私が見た日本は、偉大な文化、映画文化、そして音楽、食文化の日本だった。

しかし、私が日本について見る事の出来なかったものがひとつある。それは、ただのひとりの政治家も、ひとりの首相も、高邁な道徳や平和のために立ち上がった人がいなかったことだ。いやひとりいた。それは最近オバマ大統領の沖縄政策に反対してオバマにやめさせられた人だ。

みなさんに聞きたいのは、どうして、ともにひどい経験をしたドイツが今でも平和維持に大きな力を発揮しているのに、日本は、アメリカの衛星国家としてカモにされているのかということだ。あなた方には強い経済もあり、良質な労働力もある。なのになぜ立ち上がろうとしない? (続く…)


実は、ちょうどそのころ、私は初めての海外旅行で娘とドイツに行っていました。案内してくれた日本人ガイドさんは、成人してからドイツに行ったそうですが、「ヨーロッパは戦争の歴史だった。ドイツは2回の大戦で国土が荒廃し、もう2度と戦争はしてはならないと決意した」「ドイツにいれば誰もがそういう気持ちなんだ」ということを教えてくれました。そして「日本の安倍首相は大丈夫でしょうか」と危惧していました。

全然違うところで、全く同じ話を聞いたことで、ああこれが真実なんだな、と思いました。戦争をしないという態度は「ヨーロッパの道徳」なのです。ドイツがリーダーシップをとり、「戦争をしない」ということが政治の基礎になり、国民が普通にそう思っている。一方日本では、麻生副総理という政治の中枢にいる人が、憲法を変えて戦争できる国にするために「ナチスに手口を学べ」と発言する。それを国民は知らん顔して通り過ぎてしまう。ドイツでは、過去の戦争を反省しない政治家は存在できないのです。この日本の事態は信じられないことでしょう。日本の政治にかかわるものとして、絶対に許してはならない、と思います。

しかし、憲法9条という宝を持っている日本は、戦争をしないと世界に誓った国です。しかも武力も放棄したはずです。これが本当に生かされればまさに「世界に名誉ある地位を得る」はずです。そして、少なくとも、それを守ろうという運動が草の根で大きなうねりを作っています。原水禁世界大会も大きく成功しました。こんな恥知らずな政治家がいつまでも国の中心にいるはずがない、いさせてはならない。それを日本の政治の常識にしなければならない。つくづく思いました。

IMG_0831ドイツでは、観光地ばかりめぐってきたのですが、ほとんどのまちが第2次世界大戦の空襲で破壊されたのだそうです。それを文字通り元の通りに直し、200年、300年続いた街並みを回復しています。この凝ったつくりのミュンヘン旧市庁舎も戦後復元したのだそうです。そしてまるで15世紀からあったかのように説明されます。街に愛着を持ち、もう二度と戦争で壊すようなことをしない、そういう思いが込められているのだと心にしみました。