井口まみ
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3万の署名は政治を動かしたーー生田浄水場の存続を求める請願が「継続審査」に

5日、市議会環境委員会で、「大規模災害に備えて、市民の命の水を供給する地下水と生田浄水場を存続させることを求める請願」が審議されました。結果は継続審査なのですが、大きな大きな前進でした。

川崎市が、10年後に多摩区にある生田浄水場を廃止すると決めたのは2006年。多摩区とその近隣くらいの分しか水量はありませんが、すぐそばの井戸からおいしい地下水をくみ上げて、生田浄水場で処理をして配っています。これをやめて、市民の飲み水の7割を56キロも遠い小田原から運んでくることにするのは理不尽だと、2008年に運動を始め、2010年には市議会に請願をしましたが、共産党以外のすべての議員が「市が決めた計画を変えられない」と請願を“不採択”にしてしまいました。本会議場で請願の採択に賛成して起立したのが私たちだけだったことは、とてもショックでした。

その直後に東日本大震災が起こります。小田原からの水は、導水管がこわれて本当に20日間も停止しました。「市内の自己水源を守ることは命を守ること」と、新たに署名活動が始まり、それがついに3万を超えたのです。

この日の審議で私は、「前回の請願は多摩区の人たちだけの要望に見えた。しかし今回は、全市の命を守るかどうかという問題だ。だからこそ3万もの署名が全市から集まっている。自己水源を残し、災害用にしっかり水を供給できる市になるべきだ」と主張しました。すると、ほかの会派からも「井戸はもっとしっかり残すべき」「自分も周りの人たちから、なくすべきじゃないと言われる」など、次々と発言があり、3年前の議論とは全く違う様相になってきたのです。

最後に各会派が請願への態度を問われ、自民党も公明党も民主党も無所属の議員も「災害用に井戸をどう残すのか、市の計画はまだ不明確だ。もっとしっかり検討することを見守るために、継続審議とする」と表明。3年前は「市の計画をやればいい」と請願を否決したのに今回はその主張を認め、市が対応するよう求める立場になったのです。私は、請願を採択するべきと思っていましたが、市の動きをしっかり見守るというのならよしとしようと、継続に賛成しました。

この議会の変化はまさに、3万の市民の声がつくりだしたものでした。井戸は残ることになったものの、生田浄水場の廃止は既定路線です。これでは、まだまだほんとうに災害の時にも市民全部に水を配れる状態ではありませんが、今後の運動に繋がりました。最後まで頑張れば道は開かれると思っています。