井口まみ
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世田谷区の砧浄水場を見学しました

IMG_2194[1]地下水を水源にして住民に水道水を供給するのに、「膜ろ過方式」というのがある、と聞き、どこでやっているのか調べたら、何と多摩川のちょうど真正面に東京都の施設でそういう浄水場があるということで、「かわさきの安全でおいしい水道水を守る会」の主催で見学会に行ってきました。これなら、生田浄水場のろ過池を全面改修しなくても、少ない面積で浄水できる、ととても興味深く見学してきました。

IMG_2226[1]「膜ろ過」という装置は小さいものだけだと思っていました。川崎市が生田浄水場を廃止しても井戸は残す、災害時にその井戸からくみ上げた地下水を近隣に配るのに、可動式の膜ろ過装置を配備するというので知ったのですが、リヤカーに乗っけて運ぶと言っていたからです。この砧浄水場では日量4万トンを処理しており、横浜市では、来月からなんと日本最大の日量17万トンの膜ろ過の浄水場が稼働します。これは地下水など、濁度の低い水、つまり、泥や砂がほとんどない水に使います。川や湖の水ではだめです。生田浄水場はもちろん地下水。対象になります。砧浄水場の原水は多摩川の川底20メートルの伏流水です。世田谷のあたりを流れている多摩川の表流水はとても水道水には使えませんが、20メートルも下になると、自然のろ過によってほとんど混じりけのない水になっているのだそうです。それをくみ上げ、この膜ろ過装置で浄水し、最後に塩素を入れて供給するのです。

IMG_2210[1]膜ろ過の装置は、太い管の中に約1・5ミリの細い管が8000本以上束ねられています。それぞれの管は中が空洞になっており、原水は膜を通って、浄化されて流れていくという仕組みで、0・1ミクロンの不純物まで取り除ける。そうすると、薬品消毒では対応できないクリプトスポリジウムも除去できます。もともと砂がないので凝集剤もいりません。ほとんど薬品がいらない浄水方式です。

IMG_2229[1]装置全体もコンパクトで、メンテナンスも、自動的に2時間に一度膜のまわりを気泡などで洗浄するだけ。平成19年から稼働していますが、性能が落ちていないので当面取り替えるなどの予定はないそうです。

ただ、設置コストやランニングコストは資料がなく、聞くことができませんでした。これはこれから調べる課題です。でも、説明してくれた東京都の職員の方に「ここにこれだけの装置をつける決断をしたのは、水源を複数確保するためですか」と聞くと、胸を張って「そのとおりです」と答えられていたのがものすごく印象的でした。貴重な市内の自己水源をなくしてしまうどこかの市とはたいへんな違いだ。やっぱり生田浄水場を市民の手に取り戻そう、と思った見学会でした。