井口まみ
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介護保険問題の学習会に100人が集まりました

2016-05-18 18.09.37日本共産党川崎市議団主催で介護保険問題の学習会を開催しました。題して「改定介護保険で事業者・利用者はどうなるか――4月から始まった川崎市総合事業の現状は――学習・意見交換会」。ぜひ事業者の方たちに実態をきかせていただきたいと、市内400か所以上の事業所にアンケートをだし、お声をかけました。たいへん忙しい時期に、利用者や関心のある方も含め、100人が集まりました。

市古てるみ議員団長が、市議団に寄せられたアンケートの回答結果について報告。「総合事業になれば運営が成り立たなくなり、辞めてしまう事業所も出てくる」という懸念など記述する事業所もあったことを話しました。

2016-05-18 18.42.20基調講演とまとめを、大阪社会保障推進協議会の日下部雅喜さんにしていただきました。日下部さんはまず、介護保険をめぐる情勢を報告。介護心中や介護殺人が年間50~70件起きており、これは毎週1件ということになること、介護退職者は年間10万人。こういうことを解決するために保険制度を作ったはずなのに全く解決されていないと指摘しました。2014年に改悪された介護保険制度は、今年4月から実施がはじまりました。その内容は、①特別養護老人ホームへの入所を要介護度3以上に限定。“特養締め出し”で“介護難民”の増加が懸念されます。②介護保険サービスの自己負担が年金収入280万円以上の方は1割から2割に。加入者の2割が対象となり、保険料はとられるのにサービスを利用できない方が増えます。③要支援1、2の人が受けていた「訪問介護」「通所介護」は、自治体の事業である「介護予防・日常支援総合事業」へ移行。「多様なサービス」として無資格のボランティアなどによるサービスでもよいことになったと指摘。さらに、今後、軽度者(要介護度1,2の方)に対するサービスの見直し、すなわち介護サービスはずしともいえるような改定の動きがあることも報告され、たたかって改善させよう、と日下部さんは講演を締めくくられました。

「総合事業」について、他の政令市では2017年からの実施としているところもあるなか、川崎市はこの4月から実施を始めました。その内容は、「現行相当サービス」と、報酬が「現行相当サービス」の70%の「基準緩和サービス」、利用者が全額自己負担する「スーパー基準緩和サービス」の3類型で実施するというものです。

会場からの発言で、「現行相当サービスといっても、ホームヘルプは時間を短くさせられている。ヘルパーさんは『これでは十分な仕事はできない』と言われている」など、昨年、国の報酬改定で、報酬が大幅に下げられたのに、さらに今回の改定で、利用者も事業者も大変な状況になっている状況がわかりました。安上がりのサービスでは高齢者の安全は守れない、事業者も撤退して結局利用者が不利益を受けることになるという深刻な内容が語られました。現場の事業者からは新制度で困難を極めていること、利用者もサービスが削られているという大変な実態が話されました。

2016-05-18 20.07.06市古団長は最後に「現場の声をしっかり届けて、改善に全力を尽くす」と議員団の決意を述べて、盛りだくさんの、宿題をたくさん抱えた学習会を終わりました。私のまわりにも、介護を受けたくても制度の壁で受けられないたくさんの人を知っています。これがいっそう困難になる国や市のやり方を何としても変えていかなければと改めて思いました。