井口まみ
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2017年6月議会一般質問 介護保険料・利用料の減免について

2017 6月議会写真2017年第2回定例会 一般質問(6月27日)

※正式な会議録ではないので、必要な方はご連絡ください

【介護保険料と利用料の減免制度について】

《質問》介護保険料と利用料の減免制度についてうかがいます。まず保険料についてです。

介護保険料が高く、その負担はもう限界であるということはわが党の代表質問で指摘し、抜本的な対策を求めたところです。年金は下がり、介護保険料と国民健康保険料や後期高齢者医療保険料で年金のかなりの額を引かれてしまい、生活費が全く足りないと悲鳴が上がっています。何のための社会保障でしょうか。青天井で保険料が上がっていく介護保険制度の根本的な改善を強く求めますが、自治体の役割の一つとしてとりいそぎ、減免制度で生活を守るということが必要です。

image本市の介護保険料の減免制度の中で「生活困窮減免」は、2段階あり、ひとつは「収入が低く生活が著しく困難な方」で生活保護の基準生活費に満たないこと、世帯全員の預貯金がひとり世帯で300万、1人増すごとに150万を加算した額を超えないことなど、となっています。これは保険料段階の第2段階にほぼ匹敵するとされ、保険料の年額2万9920円を第6段階の4分の1、1万6620円にするというものです。

もう一つの「低所得により生計が困難である」という減免は保険料段階の第3、第4段階で年収が150万円未満の方で、預貯金がひとり350万、一人増すごとに100万円を加算する額を超えないなど、というもので、保険料額は第6段階の2分の1、年額3万3240円となります。これが適用されると、第2段階の人は月額2,493円から1,385円に、第3段階の人は3,601円から2770円、第4段階の対象の人は4,155円から2770円になります。

そこで、今年4月における被保険者数と、収入要件がこの生活困窮減免の対象になる被保険者数をうかがいます。また、実際にこの減免制度を受けている人数をうかがいます。

《答弁・健康福祉局長》介護保険料についての御質問でございますが、はじめに、本市におきましては、介護保険料について、納付義務者の生活が著しく困難である場合又は低所得により生計が困難である場合において、特に必要があると認めるときは、条例に基づき減免を行っております。

減免申請にあたりましては、災害による避難や入院等、やむをえない理由がある場合を除き、申請書に収入要件や預貯金要件等の世帯の状況を証明する書類を添えて納期限内に提出していただくこととしております。

本年4月における、本市介護保険の第1号被保険者数は、 28万5,179人でございまして、「納付義務者の生活が著しく困難である」ことによる減免につきまして、収入要件が当てはまる保険料段階が第2段階の方は、3万6,912人で、その内資産要件が該当し平成28年度に減免適用を受けた方は284人でございます。

また、「低所得により生計が困難である」ことによる減免につきましては、収入要件が当てはまる保険料段階が第3、第4段階の方は、 3万1,231人で、同様に平成28年度に減免適用を受けた方は121人でございます。

image《質問》収入要件だけでみれば、減免を受けている人は1%にも満たないということです。

私もまわりで聞いて回りました。生活が本当にたいへんだろうに、なぜ減免を受けずに必死で払っているのか。大きな理由は2つありました。

一つは、減免制度を全く知らないということです。減免制度の周知について、どうやっているのかうかがいます。

《答弁・健康福祉局長》介護保険料の減免制度についての御質問でございますが、減免制度の周知につきましては、全ての被保険者の方にお送りする納入通知書に制度の案内を記載しているほか、区役所・支所の窓口で配布している介護保険制度の案内パンフレットや市のホームページなど、各種広報媒体を通じて周知を図っているところでございます。

今後につきましても、引き続き周知に努めてまいりたいと存じます。

《質問》納付通知書、パンフレット、ホームページとのことです。ホームページに載せているというのは、アリバイに過ぎません。ホームページを見るにはパソコンが必要です。高齢で生活保護基準の生活をしている人たちにそれを見なければわからないというのは、本当に周知と呼ぶのでしょうか。

パンフレットには詳細な制度は書かれていません。「災害などにより介護保険料の納付が困難な場合には、介護保険料の減免を受けられる制度があります」とあるだけです。納付通知書も、色からして実にわかりにくい。これは周知しているとは言いがたいものです。本当に周知というのなら、きちんと伝える印刷物をつくるべきです。すくなくともパンフレットにわかりやすく載せるべきですが、うかがいます。

《答弁・健康福祉局長》介護保険料の減免制度についての御質問でございます

が、減免制度の周知につきましては、納入通知書、パンフレット、ホームページによるほか、区役所・文所の窓口で配布している、本市の高齢者福祉施策全般について、高齢者や家族の方々に分かりやすくまとめた「高齢者福祉のしおり」におきまして、減免制度の詳細や申請に必要な書類などについて御案内しているどころでございます。

引き続き、減免制度の適切な周知に努めてまいりたいど存じます。

《質問》せめてパンフレットにくらい詳しく書いてもいいではありませんか。周知したくないのではありませんか。改めて別途印刷物を送付することを強く求めておきます。

減免を申請しないもう一つの大きな理由は、預貯金が基準を超えているということです。実際の生活を考えれば当たり前です。生活保護基準以下、一人くらしの75歳の方なら75000円程度の年金しかないのに、生活保護を受けずに生きていけるのは、預貯金があるからです。退職金やそれまでコツコツと貯めてきたお金を、大事に大事に使いながら生きておられるのです。

300万円とは、大きな病気をしたらあっという間になくなる。そういう額です。これしかしかなくなったら本当にたいへんだから、なんとかして預貯金を減らさないようにしている。それがこの基準にひっかかるのです。この庶民の気持ちを全く勘案していないのが川崎市の基準だと言わざるを得ません。

この預貯金の要件を緩和し、もっと減免制度を受けやすくするべきだと思いますが、うかがいます。

《答弁・健康福祉局長》介護保険料の減免基準についての御質問でございますが、はじめに、現行の第6期保険料につきましては、介護保険給付準備基金から21億円を取り崩すとともに、保険料の多段階化を実施することにより、適切に保険料を設定したところでございます。

介護保険制度は、介護を社会全体で支えるという理念のもと、国、都道府県、市町村による公費と、被保険者が所得に応じて負担する保険料で運営される制度でございまして、保険料の減免措置に必要な財源はは保険料で賄うこととなりますので、減免基準を緩和することは保険料を引き上げる要因ともなり、難しいものと存じます。

《質問》減免制度を利用する人が増えれば保険料に跳ね返る、というのは、脅しに聞こえます。「保険料を上げてほしくなければ高くても我慢して払え」といっているようなものです。同じように考えれば「介護保険サービスを使うと保険料が上がりますから使わないようにしましょう」ということになり、まさに今そういう事態が進んでいます。「国家的詐欺」といわれるゆえんです。

image横浜市は、保険料第7段階以下の人が減免の対象です。単身世帯で年収が150万円以下、預貯金が350万円以下などであれば、第1段階の2分の1にします。そうすると保険料は年間16170円になります。第7段階の保険料は66000円ですから、4分の1になります。年間150万円といえば、月12万5千円の収入ですから、本当にカツカツの生活のなかで、どれだけ助かっているか。もちろん納付書とはべつにそのお知らせをつけて送付しています。横浜市では現在約3000人が減免を受けているそうです。大阪市も単身で年収150万円以下、預貯金350万円以下のかたを対象にしています。

これまで私たちは繰り返し、減免制度の拡充を求めてきました。しかし答弁はいつも今回のような「保険料に跳ね返る」とか「一般会計から繰り出しはできない」などということでした。しかし、市民の生活実態はもうそんなことを言っているときではない、と思います。厚労省がいう独自減免の「3原則」はあくまでも自治事務の技術的助言であり、強制力はありません。市民生活に心を寄せ、第7段階まで対象にし、預貯金の基準を緩和すべきです。再度うかがいます。

《答弁・健康福祉局長》介護保険料の減免基準についての御質問でございます

が、介護保険制度は、要支援・要介護の状態になった方に必要なサービスを提供する支え合いの制度でございまして、安心して御利用いただくため、将来にわたって安定した運営を行う必要がございます。

第6期計画期間におきましても、保険料の減免制度や多段階化、介護保険給付費準備基金の取り崩しなど、低所得者の方に配慮しながら、適切な保険料設定をしたものでございまして、減免基準を緩和することは難しいものと存じます。

今後におきましても、引き続き他都市と連携を図り、保険料負担の軽減が図られるよう、算定方法の見直しを含めた改善策の検討について、国に要望してまいります。

《質問》国に要望するとのことです。それは覚えておきます。

利用料の減免についてうかがいます。こちらにも生活困窮減免があり、利用料の減免制度の「収入が低く、生活が著しく困難な人」に該当する場合は、ほぼリンクして利用料が半額になります。この制度の適用を受けている人は何人かうかがいます。

《答弁・健康福祉局長》利用料の減免についての御質問でございますが、本市におきましては、保険料と同様、介護保険サービスの利用料につきましても、「生活が著じく困難である方」に対する減免制度を設けておりまして、収入要件と資産要件が当てはまり減免の適用を受けた方は、平成28年度は、17名でございます。

《質問》利用料の減免はわずか17人では、制度があってないようなものです。この財源は一般会計なのですから、少なくとも保険料の減免のようなしばりがなく、拡充できるはずです。まず、利用料の減免制度について、パンフレットにきちんと書くべきですがうかがいます。保険料の減免の窓口は区役所の保険年金課で、利用料の窓口は高齢障害課というのは、いかにもお役所仕事です。同じ場所で申請できるようにするべきですが、うかがいます。減免の対象を生活保護基準から、拡大すべきです。うかがいます。

《答弁・健康福祉局長》利用料の減免についての御質問でございますが、減免制度につきましては、介護保険料の納入通知書発送時に、利用料の軽減及び減免制度のお知らせを同封しているところでございます。また、保険料と同様、「高齢者福祉のしおり」におきまして、制度の詳細や申請に必要な書類などについて御案内しているところでございます。

また、減免等の相談につきましては、区役所・支所の専門窓口において、適切に対応しているところでございます。

次に、生活困窮減免制度につきましては、法令で定められた「食費・居住費の軽減制度」や「高額介護サービス費の支ネ創牛士会福祉法人による利用料の軽減制度」等を活用してもなお、生活に困窮している方を対象とする制度でございまして、減免基準につきましては、生活保護法に規定する基準生活費と同等の要件としておりますことから、対象を拡大することは難しいものと存じます。

《意見》利用料の減免制度も、通知書とホームページ以外にはまともな説明文はありません。高齢者のしおりもその概要版のパンフレットも区役所に行かなければもらえないではありませんか。それは周知とは言いません。

高齢者の60%以上が第7段階までの市民税非課税です。この所得で毎日暮らす大変さ、わかりますか。少しでも出費を減らし、お金のかかることはぐっと目をつぶる毎日。そのひりひりした感覚を、私たちはたくさんのご相談の中でいやおうなしに感じています。月1000円でも2000円でも減免することがどうしても必要なのです。それは区役所の現場の窓口でも肌身で感じておられるのではないでしょうか。だからこそ、もう国には要望しないといけないと思っておられるのでしょう。その感覚を自治体は深刻に捕らえなければならない。繰り返しますが、減免の拡充は法制度上市独自にできるのですから、行うことを強く求めておきます。