はつらつレポート

学校図書館で本を地域に貸し出していますが…―一般質問その3―

2007年12月26日

2007,12,26, Wednesday

3回目は、図書館の話です。
中原区の井田小学校、高津区の西梶ヶ谷小学校、多摩区の南菅中学校の学校図書館では、土曜日(日曜日もやっているところもあります)、地域の人たちに本を貸し出しています。身近なところで本を借りられるのは喜ばれると思いますが、果たしてこの方法はどうなのか。この3校がモデルケースということなので、南菅中学校を実際に見て感じたことをとりあげました。
「学校図書館を地域に開放する」と聞いて、どういう状況を思い浮かべるでしょうか。まず、ひとつは図書館のなかに自由に入って、勉強したりそこにある本を読んだり、ということでしょうか。これは市内17校でおこなっていて、特に中学校で好評です。その学校の生徒たちが勉強にきたり、地域の人も気軽に学校に来るようです。
もうひとつ連想するのは、その学校図書館にある本を一般の人も借りることができる、ということでしょう。しかしこれは難しい問題です。学校図書館の本はその学校の教育に必要だからおいているので、貸し出してしまえば授業に差し支えるからです。個人情報の管理も学校と地域と分けなければならずたいへんです。そこで、この3校の地域貸し出しは、専用の本を購入して、図書館の隅に別に置いて、その本だけを貸し出しています。井田小学校では授業に差し支えない絵本だけは貸し出しているそうですが、南菅中では、並べる本も大人向けを意識し、宮部みゆきの『楽園』や、いま話題の『ホームレス中学生』などがおいてありました。
この事業をどう位置づけ、これからどうしていくつもりかとただすと、教育長は「これは学校施設の有効利用のための事業」「今後も拡大していきたい」とのこと。それにはあまりにも課題が多いと指摘をしました。
2008,01,01, Tuesday

まず、本当に地域の人たちが読みたい本を揃えるなら、学校図書館の間借りでは場所も足りないということです。南菅中では写真のように、図書館の片隅に場所を確保し、わずかな棚を借りていましたがすぐにいっぱいになって、窓際にダンボールを並べていました。日の当たるところに本は置きたくないものですが、やむを得ません。だいたい学校図書館じたい本が少なくて、問題になっていて、本来ならもっと場所はないはずなのです。そこにむりやり大人向けの貸し出しの本を置くというのは、いかがなものか。
個人情報の管理も問題です。日本図書館協会は「その人がどんな本を読んでいるのかというのは重要な個人情報」として、その管理を自らたいへん厳しく行っています。図書館というのはそれが常識です。もちろん、本を借りるときには住所や名前を登録しますからその管理も徹底しなければなりません。この事業は有志の人たちに運営委員会を作ってもらい、ほんのわずかな委託費でまかなってもらっていますが、本来から言えば、研修もしなければならず、責任も重いはずで「こんなわずかな手当でやっていられない」といわれるような仕事ではないかと思うのです。市は「これは学校開放事業であって図書館ではない」といいますが、だとしたら、個人情報を扱うような事業にはしないほうがいいのではないか、と思ってしまいます。そんなことを指摘しました。
こうしていろいろ言っていくうちに、学校図書館に置いておけば、誰か借りに来るだろう、という簡単な発想は、ちょっと安易ではないかと思うようになりました。やはり、本を貸し出すのは図書館の仕事。地域の図書館をもっと充実させ、とくに、10年も前から「図書館分館を作ってほしい」という運動がある生田地域(この南菅中の山の向こう側ですが)にはその願いにこたえて図書館をこそ作るべきであって、学校図書館の中途半端な開放でお茶を濁すのではよくないとあらためて思ったので、そのことは教育長に意見を述べました。これで図書館を作らなくてもいいということにはならない、と。まあ、まだモデルケースということなので、関係者とよく話し合って、地域の願いにかなうようにすればいいとは思いますが。