井口まみ
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生田浄水場廃止問題で議会の審議内容が公開されました

多摩区でたいへんな関心を呼んでいる生田浄水場の廃止問題。「命の水を守るために、生田浄水場の廃止の再検討を求めることに関する請願」の審査が去る八月、川崎市議会環境委員会で行われ、十二月にようやくその会議録が公開されました。会議録の要点を掲載し、問題点を探ります。

一部の井戸を保全し災害用に確保すると川崎市
委員会は3時間以上にわたり、全会派が発言する白熱した議論となりました。

焦点のひとつは、災害時、自己水源をなくして、遠くの水だけで大丈夫なのかということでした。

市は「災害時には、一日約30トンくみ上げて緊急給水拠点として利用できるように検討している」「応急給水拠点としての災害用の井戸という形で、少なくとも4カ所か5カ所残すということになると、井戸の水位、水質についても継続して水道局としても調査していく」「緊急用という形になるが、残す井戸については水道局としても責任を持って保全していく」と、災害用とはいえ井戸と井戸水の保全をしていくことを明らかにしました。しかし、水源については、「いろいろなところから融通し合える体制をつくっているから大丈夫」などと自己水源の必要性を認めませんでした。

浄水のコストは生田浄水場が一番安い
各浄水場の1立方メートルあたりの浄水のコストについては下記の通りであり、原水に不純物のほとんどない生田浄水場が最も低コストであることが明らかになりました。

長沢浄水場 48.69円、潮見台浄水場 46.57円、生田浄水場 40.88円、神奈川県内広域水道企業団 約85円。

水道企業団への支払いは減らすことができない
委員から、水道企業団からの水を減らして、生田浄水場の水を引き続き利用したら、どのくらい節約になるのか、という質問がありましたが、市は「企業団の酒匂の創設分、それから宮ヶ瀬のダム開発分など企業団で持っている企業債の残高を含めて、構成団体で負担していかなければいけないので、計算上は減額は可能だが、現実的には基本料金の約80億円は払い続けていかなければいけない」と、結局、過去の大規模投資のツケを払い続けるために、ほかを切り捨てるという構図を露呈しました。

日本共産党の各議員は「遠くの水だけでなく、こんなに近くの自己水源を放棄することは許されない」「過去に明らかに過大な需要予測をして、設備投資をした責任を、自己水源を放棄するという形で市民に押し付けるべきではない」と主張しました。

審議の結果は継続審査に
審査の結果、各会派は次のような主張をして継続審査になりました。いずれもさらに審査が必要と述べており、さらに署名をつみあげて、改めて審査することが求められています。

自民党…今さらバックギアには入れないというのが基本的な考えだが、審査するに当たっての資料やデータというのが不足している。再審査の必要を感じる。…継続

民主党…いただきたい資料もある。再構築計画をきちんと承認してきた部分とはまた別な時点で、この問題を考える部分がある。…継続

公明党…生田を残すのは非常に難しいとは思うが、かなりデータが不足している。緊急時の対応ということも、まだかなり疑問視するところもある。…継続

共産党…地下水を残してほしいということは、きょうの議論では変わらなかった。水道局がこれでいいというのなら、もう一度議論したい。…継続

ネット…生田浄水場を残すのは不可能に近いと理解しているが、自己水源をどのように守っていくのかなど、もう少し推移を見守りたい

無所属議員…自然の自己水源を守っていくのは、本来ならばそうあるべきだろう。市民に対する説明なり提出していく資料としては非常に不足している。…継続

このホームページでは、「生田浄水場問題」として引き続き追いかけます。