井口まみ
井口まみ井口まみ

巨額なムダづかいが始まろうとしている

2008,04,28, Monday

羽田空港で、いま新しい滑走路を作っています。お客さんはアジアから、貨物は全世界からやってくるための4番目の滑走路です。この建設にからんで、川崎市が多摩川に新しい橋をかける計画が、いよいよ表面化してきました。新たな莫大なムダづかいが始まろうとしています。その現場を日本共産党議員団全員で見てきました。
羽田空港の新滑走路ができたら多摩川に橋をかけるという構想は何年も前からありました。しかしそれは、橋を超えて川崎側に税関や出入国管理を行うカウンターを作るとか、全世界からたくさんの貨物がやってくるので道路がいるとかという理由があったのですが、どれも破たんし、まったく理由がなくなっています。それでもどうしても作りたいという人たち(国、神奈川県、川崎市、横浜市)が集まって、最近「おおよそこの辺なら都合がいい」という場所をあげてきました。それが、かつていすゞ自動車の工場があったところの最上流部、大師橋のすぐ下流です。なんとこの対岸は、大田区が市民のための施設を作ろうと取得を予定している場所なのです。つまり、川崎から橋を作っても東京都側に降りる場所はない、宙に浮く橋になるのです。
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大田区にも行ってきました。大田区で空港の対応をしている部署があり、その職員の方からくわしくお話を伺いました。この羽田空港というのは、昭和20年9月21日(と担当者はすらすらと日にちを言いました)、GHQが「48時間以内にたちのけ」と強制収用し、そこに住んでいた3000人の住民を追い出したという因縁の土地なのです。区役所には強制収用前の羽田の様子を残すパノラマが飾ってありました(写真)。奪われた土地を返せというのは大田区の一致した要求であり、あまりの騒音問題もあって、昭和48年、東京都知事と運輸大臣が合意して、羽田空港を東京湾の沖合に移し、あいた土地を大田区に返すという約束ができていました。当初は200ヘクタールと言っていたのに、現在では53ヘクタールしか返さないということで問題があると、大田区の日本共産党議員団は主張していますが、問題の、川崎から橋が架かるという場所は、太田区民の悲願である返還される土地の中でももっとも利用しやすい公園にしようとしているところなのです。そこにトラックが次々とやってくるなんて、「すべての会派の議員が頭から火を噴いて反対する」と共産党の議員さんがおっしゃっていました。大田区としても何らかの方法で「考え直してほしい」という意思を示したいと言われました。
大田区長はこれまでも川崎市長に対し、この経過を説明しています。それをまったく無視して、なんとしても作るという川崎市の姿勢は情けないやら申し訳ないやら。大田区ではD滑走路ができて貨物が増えた場合の貨物輸送のあり方についても提案しており、それを検討するのが先であるという大田区の意見につくづく納得してきました。
大手ゼネコンの鉄とコンクリートの消費先を確保してやるに過ぎない計画は、推定で400億円とも600億円とも言われています。国道にしてもらえなければほとんど市が負担しなければなりません。これがどれだけ市民の生活を圧迫するか、いまだってたいへんなのに、もっともっとたいへんなことになります。
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ついでに言えば、この羽田空港のD滑走路も本当に必要なのか、疑問でした。この滑走路のために川崎市は無利子で100億円を国に貸し付けます。すでに半分貸していますが、川崎市は銀行から借金して貸し付けているので、利子は市民の税金です。それが最終的に50億円になるのです。建設現場も見ましたが、まったく納得できない風景でした。