井口まみ
井口まみ井口まみ

神奈川県内広域水道企業団の浄水場で事故。徹底究明を求めます

川崎市民の飲み水の半分を供給している、神奈川県内広域水道企業団の西長沢浄水場(川崎市宮前区)で事故があったと、川崎市議会の環境委員に文書で報告があったのは、4月25日でした。いろいろ忙しい時期で、担当者に詳しく話が聞けたのは、5月も半ばになってから。事態によっては水の供給体制にも影響が出る事故であることがわかりました。

西長沢浄水場ろ過池流出堰倒壊事故の概要は、3月12日、西長沢浄水場の中の「ろ過池」の「流出堰」が倒れたというものです。ろ過池の流出堰というのは、水をろ過する池の中で、たくさん水が入ってきたら上から水を逃がしてろ過池の水位を保つための堰のことです。写真ではわかりにくいのですが、右の写真のように、上から水を逃がしています(写真は企業団からの資料)。この高さ約4メートル、厚さ30センチの堰が、幅約40メートルにわたって、ある日突然、ばったりと根元から倒れた(左の写真)というのです。これにより、ろ過池は3ブロックのうちの第1ブロック全体が使えなくなっています。第2、第3ブロックは稼働しています。

築44年の浄水場で、なぜコンクリートの塊がバッタリ倒れたのか、まだ原因がわかっていません。川崎市の担当者が企業団から聞きとりをしたところでは、設計施工は浄水場全体が同時に行われているので、他のろ過池の流出堰は大丈夫か点検をしている最中とのこと。いまのところ水を作りながら点検をしており、供給量に支障はないとのことですが、まんいち、他の流出堰も問題があれば、稼働停止もあるため、企業団のほかの浄水場からのバックアップも検討しているとのことです。西長沢浄水場は4年後までに耐震補強をしなければならないのですが、その工事にも影響が出かねません。

他のブロックがまた倒れたり、点検の結果稼働停止になれば、川崎市の水の供給に大きな影響が出ます。川崎市のメインの浄水場である長沢浄水場(川崎市多摩区)は能力いっぱい浄水しているため、企業団の水が減るようなことがあればたいへんなことになります。だから、浄水場を一つにしてはいけないと言ってきたのに!

川崎市はこの企業団の構成団体で、運営に責任を負う団体です。市議会からも企業団議会議員を選出しています。市の担当者は「重大な事故だと認識している」「原因究明と対策はしっかりと報告をもらうことになっている」と言っています。これはほんとうにしっかりと原因究明を行い、二度と事故の起こらないように対策を行うよう求めていきたいと思います。同時に、企業団は去年に続いてまた重大事故を起こしました。人口が増え続けている川崎市。市独自の浄水場を2つ以上持っていないと、安心できないというのも、私の実感です。