井口まみ
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神奈川県内水道事業検討委員会の傍聴に行ってきました

untitled 大学の先生と、神奈川県、横浜市、川崎市、横須賀市、神奈川県内広域水道事業団という、県内の大きな水道事業者が集まって、今後の神奈川県の水道事業をどういう方向に持っていくかを検討する委員会、だそうです。その存在は前から知っていましたが、今日が最後の委員会だということで、傍聴できると聞いたので、どんなものかと横浜まで行ってきました。

私たちはいま、多摩区に水源を持つ生田浄水場を残せと大きな運動をしています。署名を始めて2年近くたちましたが、どんどんと集まり、ついに1万を越え、いまだに寄せられています。この運動で争点になっているが、命の水は、市民により近いところで取水することが、いざというときに安全なのではないか、ということです。国は、水道事業を広域化しろと強く言っています。しかし、広域化すれば水源も遠くなり、たくさんのお金と電力を使って、長い管で水を運ばなければなりません。これは時代に逆行しているのではないか。そういう問題提起をしています。

この委員会の結論は、まさに「広域化を推進する」ということでした。学者さんが国の意向を受けて勝手なことをいって答申を出すという、よくある審議会みたいなのも困り者ですが、この委員会は、川崎市の水道事業者、具体的には上下水道事業管理者も委員として加わって、その結論を出しているわけです。川崎市民が知らないところで、勝手に広域化を推進する一員になっている。横浜市の水道局長は「報告書ができたらさっそく市長や議会にも報告して、この方向で実践していく」と述べていましたが、それって自治体のあり方としてどうなのか、ものすごく疑問を持ちました。

水道というのは、まさにライフライン、命に欠かせない公共事業です。どこから水を取り、どうやって市民に一日もかけることなく供給するか、それは市民がしっかりと納得し、理解していなければならない。行政が勝手にいじっていい問題ではない。これは生田浄水場の運動を始めてみて、心から思ったことです。署名に接して「始めて井戸水を使っていると知った」という声を本当によく聞きます。熊本市は100%市内の井戸からくみ上げる地下水で供給していますが、この地下水を守るために、市民に繰り返し情報提供をしています。それが当然ではないでしょうか。市民のあずかり知らないところで、勝手によその市と水道をいっしょにしましょう、なんて決めていいのか。

現実にはそんなに簡単に広域化できないことはこの委員会でも認めていて、当面、水質管理センターのようなものをいっしょに作る程度の提案になっています。今日の議論でも「30年先の課題」みたいなことをいっていました。一生懸命議論されていた委員のみなさんには失礼かもしれませんが、「広域化さきにありき」で、30年先にはこんな風になっていたらいいなあ、みたいな話で自治体を縛られたらたまらない、と思いました。

しかしこうやって、市民や議会とは別のところで、大事な施策が決まっていくのだということを目の当たりにして、ちょっと怒りを感じています。よくあることだといわれれば、そうなのですが、やっぱりおかしい。そういう思いを抱いて帰ってきました。