井口まみ
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西長沢浄水場を見学しました

 DSCF9063 神奈川県内広域水道企業団の浄水場が川崎市宮前区潮見台にあります。先日、小田原市の飯泉取水堰を見学したときに、上流の土砂崩れの影響でずっと水が濁り続けるということを聞き、浄水場に負荷がかかっているだろうなあと思って、その水がまっすぐ来ている川崎の浄水場を見ようということで計画しました。しかしそこで学んだことは、もっと本質的な川崎市の長沢浄水場と生田浄水場の優位性でした。

まず、土砂崩れの影響から報告すると、それはそれはたいへんです。この日は雨が降っていたのですが、それほど泥がすごいという感じではありませんでした。聞いたら、「県の西部で雨が降り始めて10時間程度すると、ものすごく濁り始める」とのこと。このところしばらく晴れていたのでよかったのですが、企業団からの報告によると、土砂崩れがあった9月から11月の3ヶ月間で、1億6700万円もの負担を新たにしなければなりませんでした。そのおもなものが、薬品代、特に沈殿凝集剤です。浄水場では泥を早く沈殿させるためにPAC(ポリ塩化アルミニウム)を入れてかき混ぜます。そうするとこの薬剤の周りに泥の粒子がどんどんくっついて、大きな粒になって沈殿するのです。これをたくさんたくさん入れなければならず、昨年同時期の2倍の費用がかかっています。DSCF9071 さらに、たいへんなのが、この泥の粒子がどんどんたまってしまうので、底をさらってぎゅーっと絞って泥を取り出す作業を9月からほとんど24時間態勢でおこなっているというのです。西長沢浄水場はたいへん広くて、処理能力も一日100万立方メートル。今そんなに水はいらないので、半分くらい使っていませんが、この排水処理施設も24時間態勢で使うことはほとんどなかったそうです。この処理費用も昨年同時期の2倍です。濁りの度合い(濁度といいます)も、昨年は10月、11月は5度程度でした(生田は0・1度です)が、9月は171度、10月は88度、11月は46度。12月はまた大雨が降りましたから、また相当あがっているでしょう。

そんな水が小田原からとうとうとやってきています。沈殿池を見ようと外に出て、まず気が付いたのが塩素のにおいがぷーんとするのです。長沢では最後の屋内のろ過池ではさすがにしましたが、外の沈殿池では感じたことがありませんでした。説明では、塩素を浄水の過程で3回も4回も入れるのだそうです。それだけではありません。しょっちゅういろんな物質が混ざってPHが一定しないため、硫酸を常時いれて、PACに泥が付着しやすくしているのだそうです。 DSCF9067「硫酸槽」なるものが2つも建っていました。さらに、資料をいただいてびっくり。年間を通じて原水がいろんなにおいがするため、活性炭もほぼ毎日入れているのです。長沢ではこんなにいろいろ混ぜていません。硫酸なんてそもそもなかったし、活性炭も夏、相模湖に藻が発生したときに一時期いれるだけで、年間300日以上入れるなんて考えられません。塩素ももちろん最後に少し入れるだけで、飲める水になるのです。生田浄水場ではこんな薬品は一切必要なく、法律で決まっているので最後に塩素を少し入れるだけでおしまいです。酒匂川の最下流からくる水だということが、いろんな問題を生んでいることがよくわかりました。

企業団の職員の方は、あたりまえのように薬品の説明をしてくれましたが、川崎の事情を知っている者にとって、これはほんとにおどろきでした。こんなにいろいろ入れないと、飲めるようにならないんだ!小田原から運んでくるのに莫大な電気を使って、長い管路を作るからお金がかかるといってきましたが、この薬品代も長沢や生田と比べ物にならないほど必要で、いよいよ「高い水」だということがはっきりしました。

見れば見るほど、生田に浄水場を残すことが必要だということを実感します。なのに、議会はこれを否定したということは、この次に。