井口まみ
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市長が職員の思想調査まがいのアンケート-やってはいけないことだったと断罪

市長が、市の職員に対して思想調査まがいのアンケートを行った。現職の職員がそれはおかしいと裁判に立ち上がった。東京高裁で、ほぼ原告の訴えに沿った判決が出て、勝利集会が開かれた。まるで社会派映画のようなことがこの川崎で起こりました。

8年前、今の阿部市長が、市長なりたてで市議会の本会議で公明党とこんなやり取りをしました。「共産党の議員が赤旗を市職員に取らせているのを知っているか。こうやって党の収入としているのはおかしい」「それはうすうす知っていました。直ちに調査します」。

市長は直ちにアンケートを作り、課長係長を使って勤務時間内に回答させました。そのなかには「購読を呼びかけられたとき圧力と感じたか」というものもありました。そもそもどんな新聞を取っているのか、どんな本を読んでいるのかということを権力が調べること自体、思想調査です。ましてそれをとるかどうかを考えることを圧力だったかなどとその人の内面に踏み込むことを、市長がやっていいはずがありません。

これはおかしいと、現職の職員6人が裁判に立ち上がりました。これは本当に勇気がいることだったと思います。地裁では敗訴でした。控訴し、8年目に高裁判決が出ました。結果としては訴えは棄却だったのですが、判決文のほとんどは、原告のみなさんの訴えを丸ごと認め、市長のやったことを断罪しました。ただそれが直ちに違法とか憲法違反とはいえないという、今の司法の限界の中で棄却になったのですが、弁護団のみなさんは「実質勝利判決だ」と胸を張ります。

機関紙裁判集会 そして勝利集会が開かれました。写真は弁護団長の判決の意義をお話しいただいているところです。原告のみなさんにも花束が贈られました。

私たち議員は確かに幹部職員のみなさんに新聞を勧めています。それはなぜでしょうか。

私たちが市民のみなさんから切実な要望を受け、それをこの職員の皆さんに伝え、実現するために、本当に毎日のように話し合いをしています。でもなかなかうまくいきません。それは、市民の苦しみの多くは、ちょっと小手先で何とかなるものではなく、国の悪政によってもたらされたものです。この国を国民本位の政治にしなければ、自治体の一部署ではなんともならないことが多すぎます。日本共産党はそういう大本の問題に正面から取り組み、解決の方向を赤旗に書いて示しています。そういう根本問題を知ってほしい。一緒に考えて、そういう土台の上に自治体がどうすればいいのかを考えてほしい。職員の皆さんと話せば話すほどそういう思いを持つのです。

また、今自治体は本当に財政的にもおいこまれています。時の政府が本来の自治体の役割を奪い、いいように使っています。それに対抗して、住民の福祉の増進という本来の自治体の役割に徹することが必要です。そういう立場もしんぶん赤旗は主張しています。そういう思いで私たちは議員活動をしている。そのことを知ってもらいたいと思うのです。だから、その人の意思で購読してもらえるならお願いしたいとお勧めしています。

その思いを受け止めた人は購読してくれます。そうでなければあっさり断られます。それでいいのです。どこに圧力があるでしょうか。この新聞を取ることを問題視するというのは、市民のための自治体にしたいという思いを受け止めるな、そういうことを考えるなということではないでしょうか。まさに福祉を削りに削ってきた阿部市長の路線です。

市長の路線が断罪された以上、私たちはいっそう職員のみなさんに私たちの立場を知らせ、市民のための市政、本来の自治体のあり方を取り戻すために、一緒に働くということを伝えていきたいと思います。