井口まみ
井口まみ井口まみ

最後まであきらめないこと

untitled この真新しい宅地が、2年前まではこんもりした雑木林だったなんで、もう想像もできません。工事が始まって1年もすると、こんなに立派な道路や擁壁が立ち並び、あと1年もすればきれいな住宅街になるのです。この宅地開発の反対運動に関わって3年がたち、いよいよ終局を迎えています。

計画が持ち上がったときから、周辺の住民のみなさんが「考える会」をつくり、まわりの環境を壊すなと頑張ってこられました。もっと緑を残してほしいと訴え、工事中の安全性、出来上がったときの雨水対策や環境対策など、本当に粘り強く事業者と交渉し、何とか改善をさせてきました。それも本当に頑張ったのですが、工事が進むたびにいろいろな問題が新たに生まれて、この日は、もう工事完了間近になって、敷地内に作った公園から、お隣の家の中が丸見えになるということがわかり、事業者に直接その対策を交渉するために現地に行ってきました。

これからまだ家を建てる工事が続きます。山の尾根を削って宅地にしているので、どこよりも高いところに家が建ちます。すぐ目の前に新しい家ができて、上から覗かれることや、車の排気ガスが2階の窓にあたるなど、余裕のないつくり方をしていることからくるさまざまな問題がこれからもおきてくることが想像できます。これまでも予想される被害については、宅盤の高さを下げさせたり、目隠しの植木をさせたりしました。黙っていたら、たくさんの問題を抱えたまま2年も前に工事は完成していたのでした。みんなであきらめずに粘り強く交渉をしてきたことが、多少なりとも問題を少なくしてきた成果でした。

公園のプライバシー対策は事業者が当事者とよく話し合って納得いく策を打つことになりました。まだ工事中なので立ち入り禁止ですが、事業者といっしょに公園にはいってみると、確かに見るからにうちの中を覗いてくださいといわんばかりの公園になっていました。見慣れない図面とにらめっこしながら、どういうものができるのか、まわりの人たちの生活はどうなるのかと一生懸命考えながら交渉してきましたが、やはりわからないことだらけです。事業者は別にここに住むわけではありません。一緒に住み続ける人たちがずっとよい環境で過ごせるようにすることが、事業者の本来の姿だと思います。だから、最後まであきらめずに必要なことは求め続ける。それが大事だとここの運動に一緒に参加させてもらって、教えられました。