井口まみ
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「闇の中にも必ず光がさす」ー書家 金沢翔子さんを語る

金沢翔子2多摩区社会福祉協議会の大会の記念講演で、書家 金沢翔子さんの揮毫を見ることができ、おかあさんの金沢泰子さんの講演を聞くことができました。涙涙の感動の1時間でした。

NHKの大河ドラマ「平清盛」のオープニングの題字や、しんぶん赤旗の東日本大震災関連の連載記事の題字「希望」を書いておられることで、金沢翔子さんのことは知っていましたが、泰子さんのお話を聞くのは初めてでした。「ダウン症の子とともに生きて」という題名のとおり、翔子さんがダウン症であることを知った時の苦しみ、27年間の中で何度も味わった苦しみとともに、障害者でなければわからなかったであろう人間としての喜びを語られました。

「20歳のとき、1回だけと決めて開催した個展で、たくさんの方が書を見て泣いていた。なぜ泣くのだろうと考えた。翔子は人と比べてうまく書こうとか、もっとうまくなろうとか考えない。無心に今を100%生きている。心の底から出てきている思いが人を動かしているのではないでしょうか」。壇上で翔子さんが書いた文字は「飛翔」。本当に飛び跳ねているようで、書いているときの翔子さんはとても楽しそうでした。

ダウン症だと分かったとき、近所の小学校に障害児学級がなく転校を迫られたとき、お父さんが亡くなったとき、作業所に入れなかったとき、そのたびに途方に暮れた。でもそのたびに、もがいて出口を探していると、光がさす。「今はどんな闇の中にも必ず光はさすと、確信しています」と泰子さんはきっぱり話されました。そして「生きていれば必ずいいことがあるはずです。それを忘れないように生きましょう」と、おそらく同じ思いでいる障害者の家族に向かうように話されました。

金沢翔子1終わったあと、翔子さんと同じくらいの年齢の重度障害の子どもを持つお母さんが「うちも、3歳までは障害を受け入れられず、高速道路でこのまま壁に突っ込もうかと話したこともあったのよ」。「今日の話は励まされたわ」と帰っていきました。この書を目に焼き付けて私もしっかり生きていこう。