井口まみ
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臨時議会開催--川崎市は新たなむだ遣いに突入していく

4月13日から16日まで、臨時議会が開かれました。臨時に開かなければならなかったのは、殿町3丁目地区の土地1・3ヘクタールを23億円で買うための議案を、急ぎ議決しなければならないためでした。

殿町3丁目地区は、川崎区の臨海部、元いすゞの自動車工場があった広大な土地です。多摩川に面しており、川の向こう側は羽田空港。いまはUR(都市機構)が所有しています。いすゞ跡地はとても広いのですが、そのほんの一部を市が買って、民間の企業に貸し付けるというのです。その相手は、「環境・ライフサイエンス分野の産業を育成するところ」。??

かつて貿易黒字を減らすために海外からの輸入を増やせと、国が音頭を取って補助金を増やして日本中に新しい港の施設を作りました。川崎も新しい岸壁とガントリークレーンを作りましたが、船は来なくて大赤字で市が穴埋めしました。そのあとはIT革命だと、コンピューター関連の企業を誘致せよと国が旗を振って、麻生区に広大な工業団地を整備して、これも企業は来なくて整備費用を回収できず、市が買い取りました。

国の言いなりになっても、新しい産業が簡単におこるわけがありません。なのにまたまた懲りずに、今度は環境産業や、医薬品などの研究施設を誘致すれば、関連する工場がやってくる、新しい産業が川崎で起こるというのです。だからまず川崎市が土地を買い、進出する企業に安く貸して、補助金も出してやる。そういう、どう見ても新たな無駄遣いの第1歩が、今回の臨時議会だったのです。

産業振興なら、川崎市はもとから世界でも有数の技術を持つ中小企業がたくさんあり、いま、たいへんな不況で廃業も相次いでいます。そこにこそ手厚い援助をして、日本のものづくりを支えることこそが、自治体がするべきことではないのか。今年度の予算では中小企業予算は融資を除くと10億円。いっぽう、市外から新しい産業なる者を呼び込むためには土地代だけで23億円。こんな税金の使い道でよいのか。

そういう議論を代表質問と委員会で日本共産党の議員たちが論陣を張りました。他党はすべて賛成し、この議案はとおってしまいましたが、私たちはひきつづき、この問題を追及します。