井口まみ
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日本を国際社会の水準に――雇用問題のシンポ開催

雇用シンポ「賃上げと雇用拡大でデフレ脱却を!」という名のシンポジウムを、日本共産党川崎北部地区委員会が開催しました。雨のなか集まった80名の参加者のおそらく全員が、「もっとたくさんの人に聞いてもらえばよかった」と思った、それは感動的なシンポでした。

もともとこのシンポは、共産党が発表した雇用問題の政策を皆さんに知ってもらおうと企画したものでした。この政策は、こちらからご覧ください。 http://www.jcp.or.jp/web_policy/2013/02/2013214.html

なので、講師は、共産党中央委員会で雇用問題を専門に研究している筒井晴彦さんにお願いしたのですが、筒井さんのお話は、「国際社会は働く人をどう扱っているか」という国際基準のお話に終始しました。この国際社会というのは、ILO、つまり国連に加盟している圧倒的多くの国々がちゃんと合意して決まり事にしている、その内容に照らして日本はどうなのか、ということです。

いやはや、日本のマスコミだけしか知らなければ、全く知らない、でも知らないことはとても恥ずかしい、それが国際社会の流れだということがよくわかりました。

ILOが2012年に発表した「世界労働リポート」では、世界の深刻な雇用情勢を打開するためには、各国政府が緊縮策を取ってはいけない、と警告。①賃金と最低賃金を引き上げ、国民所得を増やして内需を拡大する、②多数の労働者を雇用する中小企業への資金援助などの支援を行う、③失業者が再就職できるように支援する、という政策を取るべきだと提起しているというのです。以来1年半で、ヨーロッパでは、その運動が広がり、11の国で政権をひっくりかえしています。

ILOは、「社会保障の権利は人権である」として、一人も落ちこぼしてはならない。すべての人が「尊厳を持って生きることが認められる」基礎的所得保障でなければならない、ということも勧告しています。若者は「明日の経済・社会にとっての財産」だから「使い捨てにしてはいけない」といい、「職場における差別撤廃が社会正義の中心」として男女差別をなくすことを特別に重視し、非正規雇用の縮小、パート労働者の保護もとりあげています。公務員は民間の賃金よりも低くてはならず、その社会のお手本にならないといけないといっています。そして企業に対しては、「人員削減を優先するような企業に未来はない」として、人員削減をした企業がいかに質が落ちたかというレポートを発表しています。ILO第100回総会(2011年)では「社会正義の新時代」をテーマにし、「社会正義とはすべての人間に平等と尊厳、権利を保障するということ」であり、その土台に労働条件の改善をいちづけているのです。

共産党の政策は、こうした世界の流れの中で当然すぎる要求を行っているにすぎません。9時から5時まで働いたら、ちゃんと生活できる賃金を払う。社会保障をきちんと行う。それで社会は十分回るだけの力を持っている。それが今の時代です。だから世界はその方向を認めているのです。日本政府はILO条約のわずか4分の1しか批准していません。アメリカはわずか1割。なるほどねえ。日本国憲法の98条2項では「日本国が締結した条約及び確立された国際法規はこれを誠実に順守することを必要とする」と定めています。これは、批准していなくても多くの国によって拘束力が発生しているものは守らなければならないということだそうです。これを使った裁判例もあると、筒井さんは示してくれました。

働いたらそれだけの賃金をもらい、物を買ってまたつくる循環を。休日はちゃんと休んで文化にも親しむ。そういう社会を作るのは当たり前のことなんだ。このことによってこそ、日本の経済は立て直せる。それ以外の方法では、ましてアベノミクスでは、壊れていく一方なんだ。これを胸を張ってたくさんの人に伝えたいと思います。この国際社会の情報は、なんと、赤旗の日刊紙にすべて載っていたのです。筒井さんは70ページに及ぶ資料を作ってくれましたが、世界の情報はすべて赤旗の記事になっていました。これはほんとにみんなに見せなくちゃ。