井口まみ
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過去に学ばないものは…国際社会から見放される

あまりにも低俗でコメントする気にもならなかった、橋下大阪市長の発言ですが、何が問題になっているのかということすらわかっていない釈明の連続にだまっていられなくなりました。女性の人権、ひいては人権そのものを全く尊重する気がない。これで弁護士か。全くあきれてものが言えません。しかし、ことはそれにとどまらないということを感じています。

「ニューズウィーク」日本版で作家の冷泉彰彦氏が、「『橋下発言』はアメリカからどう見えるか」という文章を載せています。日本軍慰安婦は仕方がなかった、強制ではなかった、という橋下氏の発言は、ただ彼一人の問題ではなく、その前の安倍首相の「侵略戦争の定義ははっきりしていない」とか、高市早苗議員の靖国神社参拝の問題などと「根は一緒」で、アメリカでは彼らは「超国粋主義者(ウルトラナショナリスト)」としてとらえられていること、その人たちは第2次世界大戦を肯定しているととみているとしています。

冷泉氏は、国際連合を形成している今の国際社会は、第2次世界大戦を最後の世界戦争にしよう、そのために、戦争を行うことを厳しく律しよう、ということでつながっているとして、このウルトラナショナリストたちは、「現在の国際社会の安全保障の大前提を否定する」とみられ、日本外交は難しい局面になる、と断じています。

冷泉氏がこれまでどんな主張をされていた方なのかよく知りませんが、アメリカの空気はそういうことなのでしょう。ましてヨーロッパでは、そもそも社会的常識のない人間として、もう公人として扱ってもらえないでしょう。そういう人が日本では政治家として跋扈している。情けないこと極まりない。

私たち日本の国民は、日本の憲法、とりわけ9条によって「戦争をしない国に生きている」ことに誇りを持ってきました。二度とあの歴史は繰り返さないと憲法ではっきりと明記したのが日本です。本当は世界の平和のために最も先頭に立っているべき国であり、最も人権を大事にしている国のはずであり、最も国民が幸せに生きているはずの国なのです。それが、その反省を考えたこともなく、憲法を守ろうとしない人たちの妄動によって、私たち日本全体が国際社会から孤立することになるなんて、おかしいではありませんか。

いまこそ、私たちは世界の常識をしっかり認識して、おかしいことはおかしいとはっきりさせるべきです。憲法を守らない総理大臣や市長は「やってはいけない」と明確にするべきです。そういうひとをトップにしている党は審判を受けるべきです。

いま、国民の、日本がどういう未来を描くのか、という意識が問われていると思います。