井口まみ
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市民劇場は劇団民藝の「どろんどろん」でした

dorondronたま・あさお市民劇場の例会は、劇団民藝の「どろんどろん」。民藝のお芝居といえば、ひとこと「むずかしい」というのが定番だったのですが、今回は、前進座の人情話のようにとても楽しめました。パンフレットにも、「民藝はもちろん新劇は時代物が苦手」なんて書いてありますが、やっぱり役者さんというのは立ち振る舞いの基礎ができているんですねえ。着物着てあれだけ動き回っても転ばない。すごいなあ、なんて変なところで感心していました。

話は、180年以上まえの文政8年(て、江戸時代のいつごろ?)、歌舞伎の中村座で3代目尾上菊五郎が、鶴屋南北の作で四谷怪談を上演することに。その舞台の大道具は、「長谷川」という大道具師。ちなみに代々当主は勘兵衛をなのり、いまも17代目勘兵衛さんが86歳で現役なのだそうです。この長谷川一家が主人公。菊五郎がむずかしい舞台の注文を付け、それをやりきれるかどうか。さまざまな人間関係をのりこえて、舞台を作る裏方の苦労と誇りを演じています。これって、ほとんど舞台を作っている人たちの思いだよねえ。

市民劇場は、会員の会費で劇団を呼んで、地元で演劇に親しもうという会です。ヨーロッパなどと比べて、国があまりにも文化を大事にしないので劇団や上演施設への補助金の少なさから、見る側が支払う観劇料がどうしても高くなり、それが庶民の足を遠ざけています。映画のように毎日やっているわけではないので行く日が限られ、会費を払っていてもいけない時のほうが多いという悲しい会員ですが、見終わるとやっぱり会員を続けよう、と思うのです。