井口まみ
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生活保護法の改悪が阻止されてよかったのですよ!

26日、国会が閉幕しました。この閉幕のてん末の報道は、翌日のマスコミと、赤旗は正反対で、マスコミの言っていることをうのみにすることの怖さがよくわかる一日でした。

国会最終日前日、参議院では生活保護法の大改悪案や原発再稼働を前提とする電気事業法改正案などが残っていました。これらの審議は全く途中で、普通は「継続審議」にして次の国会で審議するものです。ところが民主党は参院予算委員会の出席を拒む安倍首相を不問に付したまま、「自分たちが政権時代から準備してきた法案なので成立させる」(細野豪志幹事長)として、これらの法案を成立させる考えを表明しました。

生活保護法の改悪は、ほんとうにひどいものです。この内容自体をマスコミはほとんど報道してこなかったことも大問題です。生活保護を受けたいというところまで追い込まれた人たちは、本当ににっちもさっちもいかなくなって、頼る人もおらず、自分を証明するものすらなくなっている人もいます。そういう人たちがいつでも、どんな状況でもとにかく生活保護を受けられるようにする。それが今の生活保護法の精神ですが、それをくつがえし、すべての書類が整わなければ申請を受け付けない。門前払いを法制度化するのです。そして家族親族に、支援できないという証明書を書かせる。これはほんとにひどい仕打ちです。「生活保護はねつけ法案」と呼ばれ、反対する大きな運動が起きていました。

いっぽう、参議院には、予算委員会を勝手に欠席した安倍首相に対する「問責決議案」が出されていました。これが可決すれば問責を受けた首相のもとで法案は審議できないため、この改悪法案は廃案になります。法案を先に審議するか、問責決議案が先かで、生活保護法の運命が決まる。たくさんの人たちが雨のなか国会に駆けつけ、反対の声を上げていました。

26日の参院議院運営委員会で自民党は「甘んじて(問責の採決を)受ける」とし、法案より問責の処理を優先する考えを表明。問責決議案が優先して採決されることになりました。民主党も参院選を前にして反対することができず、日本共産党も賛成し、問責は可決しました。自民党が問責の優先処理を容認した背景には「法案が通らなければ野党の責任だ。参院選で過半数を取ればいくらでも通せる」として、野党批判と「ねじれ」解消を訴える材料にしようという狙いがありました。実際、閉会後の記者会見で安倍首相は「重要な法案が廃案になった。ねじれを解消しなければならないとの決意を新たにした」と語りました。

一方、民主党は、「問責採決のタイミングをずらせば法案は成立させることができた」(細野幹事長)と述べ、生活保護改悪法案などを押し通す立場に固執。同調しなかった自民党を批判するなど「野党」とは思えない態度に終始しました。それでも問責決議に賛成せざるをえなかったのは、東京都議選で惨敗し、安倍政権に対する国民の批判や運動を無視できなかったことを示しています。

さて、多くのマスコミは「重要法案を葬り去った野党はひどい」と、まさに自民党の思惑通りの報道をしました。電気事業法などは肝心の原発再稼働が前提であることは隠したまま、この廃案がまるで国民の利益に反しているかのような報道でした。「赤旗」は、「問責決議の可決は当然。こんなひどい法案の廃案も当然」というスタンスでした。国民の立場からみれば、安倍首相の国民いじめの暴走を、参議院が食い止めたということではないでしょうか。私は世論と運動の勝利だと思います。

参議院選挙はこうしたマスコミも動員して、自民党に有利な世論誘導がされるでしょう。私たちは、国民の皆さんに、ほんとのところはどうなのか、という情報をしっかりお知らせしていかなければならないと思っています。