井口まみ
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憲法9条を必ず護る―“おみな牢に満つるとも”

自民党が高い支持率を背景に次々と本音を明らかにしてきました。

安倍首相は7月15日放映の長崎国際テレビ番組で、「われわれは9条を改正し、その(自衛隊の)存在と役割を明記していく。これがむしろ正しい姿だろう」という憲法9条の改悪を、参議院選挙の中で初めて明言しました。

さらに、自民党の石破幹事長が4月のテレビ番組で「軍事法廷とは何か。すべての軍の規律を維持するためのものです。」「現行の自衛隊法では、最高懲役七年が上限」「『これは国家の独立を守るためだ。出動せよ』と言われたときに、行きたくないと思う人がいないという保証はない。だから(国防軍になったときに)それに従えと。それに従わなければ、その国における最高刑に死刑がある国なら死刑。無期懲役なら無期懲役。懲役三百年なら三百年。そんな目に遭うくらいなら、出動命令に従おうっていう(ことになる)」。と発言したことが、この参議院選挙の最終盤になって東京新聞で大きく報道され、たいへんな問題になっています。

衆議院で過半数を取ったことにおごり、人類が営々と築き上げてきた平和と民主主義の原則をいとも簡単に投げ捨てて戦争への道へひた走る。そういう人たちがいま、政治の中枢を握っていることに、たいへんな危機感を感じています。

「徴兵は命かけても阻むべし母・祖母・おみな牢(ろう)に満つるとも」

石井百代さんという女性が75歳で詠んだ短歌が78年に「朝日歌壇」に掲載されました。福田赳夫首相が有事立法の研究を指示したときだそうです。石破発言を読んだとき、この歌がよみがえりました。今日一緒にいた70歳になった女性も、「なんだっけ、『おみな満つるとも』っていううたがあったよね」と同じことを思い出し、「正しいのを探してきてね」といわれたので、インターネットで探しました。こう言い換えたい。

「改憲は命かけても阻むべし母・祖母・おみな牢に満つるとも」

なぜ9条を作ったのか。なぜ国民主権なのか。あの戦争を二度と繰り返してはいけないという痛恨の教訓からではなかったのでしょうか。戦争を知らない世代が増えています。知らなければまたやってもいいのか。憲法のおかげであの悲惨さを知らずに生きてくることができたことに感謝し、だからこそいっそう9条を守らなければならないのではないか。そういう認識を育てることが大人たちの役割ではないのか。ほんとうに戦争で苦しんだ世界の人々の思いを未来に生かすために、私たちはどうしても日本の憲法を護らなければなりません。

牢につながれようが、何されようが命かけて憲法を護る。少なくとも今目の前でできるのは参議院選挙で改憲勢力に痛打を与えることです。あと2日です。