井口まみ
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福岡・北九州に視察に行きました

市民委員会全員で、福岡市、北九州市に視察に行きました。市民委員会が所管する施策をおこなっている他都市の事例を視察するのが目的で、福岡市では、NPO・ボランティア交流センターと産学連携交流センター、北九州市では北九州イノベーションギャラリー、子育てふれあい交流プラザを見学しました。

文献やホームページで下調べはしていくのですが、やはり百聞は一見にしかず!です。しかもどこでもその事業に一生懸命取り組んでいる人がいて、その人の話が勉強になります。

福岡市のNPO・ボランティア交流センターは、指定管理者が運営しています。単に市内のNPOの交流だけでなく、市民がひとりでも何かボランティアをしたいと思ったらぶらっとやってきても、それを受け入れて、団体を作ったり、既成の団体を紹介したりする仲介をするんだと、たいへんな意気込みでとりくんでいました。若者がひとりで「なにかしたいんですけど」と、ほんとに来るんだそうです。何をしたいのか聞いて、それにあう団体を紹介して、アポも取って、体験してみて、よかったら続ける。ダメだったら次を紹介する、と最後まで面倒を見ています。「どうしてそこまで」と聞いたら、「住みやすい町を作るには、そこに住む人たちが社会参加をしないといけない。町内会の役員だけではいい町は作れない。それがボランティアだと思い、まちづくりをする気持ちで参加を募っている」という、明確な目的を持っていました。市はそのコンセプトがいいと、指定管理者に指定したそうです。うーん、なるほど!

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北九州市の子育てふれあい交流プラザはとてもきれいなところでした。こちらも指定管理者。小倉駅前の再開発地域の大きな建物の一室で、子どもたちが一日いても飽きないような遊ぶスペース、お母さんの相談室や職業紹介コーナーもありました。所長さんもとても熱心な方で、いかに若いお母さんの子育ての悩みに寄り添って、それを解決しようかという工夫があちこちに見られました。北九州市も政令都市で7行政区あるので、本当は1区に1ヶ所あればいいのですが、こんなに広いところはむずかしいです、と市の担当者が言っていました。

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考えされられたのが、福岡の産学連携交流センターと北九州市イノベーションギャラリーです。どちらも産業振興のために作られています。北九州のは、博物館です(写真)から、即産業振興というわけではないのですが、新日鉄の広大な工場跡地を市が買い上げ、遊園地と3つの巨大な博物館が並んでいて、そのなかで、イノベーション…技術革新に役立つ人材の育成や交流の機会をつくり、北九州の産業振興に役立てるというものです。

福岡のは、場所が遠かったので、市役所で説明を受けましたが、建物としては小さな部屋がたくさん並んでいて、そこに大学や企業の研究室が間借りするというもので、川崎にもあります。しかしここの役割はそれだけでなく、福岡市が広大なこの周辺の地域を「九州大学学術研究都市」として指定し、その「先導的施設として、国内外の研究者、企業等の連携交流を促進することにより、新しい産業、事業の創出を推進する」としていることです。九州大学の郊外への移転にあわせ、その周辺を土地区画整理事業で事業所を誘致、駅前には人の流れを当て込んで商業地域も整備して、研究が進んで新しい産業が起きたらここに集積しようという構想なのです。

工場跡地を市が買い上げて産業振興に役立てるとか、研究機関を誘致して、いずれその研究を元に産業を集積する。どこかできいたような…。殿町3丁目も同じような話でしたねえ。新しい産業などそう簡単に集積するものではないと思うのです。川崎や大田区のものづくり技術の集積も長い年月の中で、少しずつ集まってきていまのような世界最先端の技術が生まれてきたのです。まして、市が土地を買ってやったり、お金をつぎ込んで誘致合戦をするなど、経済のあり方としてもとても疑問で、本当にそこに産業が根付くのか、企業が安いところを探して渡り歩くことはないのか、いまの企業の社会的モラルを見ていても、心配です。

全国でいろんなことが起こっています。ただ見て来て終わりではなく、これを良くも悪くも川崎市政に生かすことが視察の目的です。