井口まみ
井口まみ井口まみ

第59回稲田つつみ寄席、たのしかった!

28年続いている「稲田つつみ寄席」。今回も大盛況です。

鯉ん前座は瀧川鯉んさん。つつみ寄席は初めて。「コインなんて小銭みたいな名前で」なんて、つかみもばっちりです。30歳を過ぎてから前座というので前身は?と思っていたら、10年間、漫才師をやっていたのだそうな。どっちも大変な道だよねぇ。「転失気(てんしき)」を、にぎやかに話しました。お医者さんに「転失気」はありましたか、と聞かれた和尚さん。何の事だかわからず知ったかぶりをします。借りに行かされた小僧さん、町の人も「売り切れた」とか「食べちゃった」とか言われてわけがわかりません。当のお医者さんにそれがなんだか教えてもらった小僧さんは、和尚さんに悪戯を仕掛けます。

明楽二つ目は柳亭明楽さん。2回目の登場です。「太鼓腹」は、暇を持て余した若旦那が新しい趣味に鍼(はり)を始めた。はじめは壁や畳にさして遊んでいたけど、つまらなくなって人に刺したい!と、太鼓持ちを呼び出します。太鼓持ちのおなかに無理やりさすんだけど、そんなことしたらあぶないでしょ!!実は私も、鍼に通っています。ちょうど前日、治療のときに「若いころは自分の体で練習したものだよ。抜けなくなると『迎え鍼』というのをやって出すんだけどね」なんてことを教えてもらったところで、若旦那のセリフで「迎え鍼やってみよ」「ああ、これも折れちゃった」なんて、うわあ、リアルだあ。

真紅3人目は講談です。神田真紅さん。つつみ寄席には2回目ですが、とても人気なのでくらしの相談センターにも来ていただいています。先月二つ目に昇進したとのことで、二つ目になるとつけることができる真っ赤な袴で登場です。昇進したからと演目は「猿飛佐助」。山の中で飛び回っていた佐助がその能力を認められていよいよ出世!というところで「お楽しみはこの次に」チョンチョン。真紅さんが佐助になりきって元気のいいこと!!また来てもらわなくちゃ。

遊喜真打は、若手でとても元気のいいと評判の三遊亭遊喜師匠。前座の時に2回、二つ目で1回、真打になって2回目。今回で5回目の出演です。こんな小さな会に何度も来ていただいてほんとにうれしいです。演目は「徂徠豆腐(そらいとうふ)」。荻生徂徠という学者がまだほんとに貧しいころ、近所の豆腐屋がおからを運んで食わせてやっていた。「何か人のためにやっていれば巡り巡って自分のところに帰ってくるだろう」と、おかみさんはコメのおにぎりを握ってくれるようになったが、あるひ豆腐屋が風邪をひいて数日いかない間に徂徠先生は引っ越してしまった。そして何年かして、豆腐屋が火事で焼け出されて…。最初はひもじくて声も出ない徂徠先生が、おからを食べて少し力がついて、おにぎりになったら声に張りが出るようになっていく、その様子になんだかこっちまでほっとします。遊喜師匠は、枕で「今日はどんな話をしようか、皆さんの顔を見て考える」と言ってましたが、前の3人が勢いのいい話をして、最後にしっとりと人情噺をしてくれる。この会の構成もとてもいいなあ、と思いました。

井口私は仲居さんではありません。この会の宣伝をするのが仕事。この会の会員(木戸会員)になると、年会費6000円で、年2回の公演ごとに2枚のチケットをお渡しします。1枚2000円なので、1枚分お得になります。じつは、次回は記念すべき60回。6月に桂文治師匠を招いて、200人の会場で大きくやります。こちらは前売り2500円ですが、木戸会員さんは通常お渡しするチケットで入場できるという大特典つき。ぜひお越しください。