井口まみ
井口まみ井口まみ

甲府市に中学校給食の視察に行きました

IMG_2841[1]川崎市の福田市長は、山梨県甲府市の中学校給食をみずから視察し、試食しました。何をみて、何を感じたのか。私たちも同じ体験をして学ぼうと、甲府に行ってきました。

甲府市は市内に11校の中学校があり、約5000人の生徒がいます。1997年から業者が弁当を作って配る弁当方式で給食を始めましたが、弁当は法律でおかずを冷やして配送しなければならないため、おいしくないと不評で、2009年、業者が作った食事を食缶に入れて温かいまま配送し、教室で配膳する食缶方式に切り替えることを決定。2011年度に全校で食缶方式の給食になりました。いわゆる民間事業者によるセンター方式です。

IMG_2835[1]全校生徒199人、各学年3クラスの富竹中学校にうかがいました。教育委員会と校長先生から概要の説明を受け、実際に業者から運ばれてくる食事が教室に運ばれ、食べるところを見学しました。この日は週に1回のパンと、ミネストローネ、グラタン、野菜サラダに牛乳です。当初、窮屈な時間割の中で配膳したり片づけたりという新たな作業がはいって、きちんと時間通り食べられるのかという心配があったそうですが、子どもたちは小学校で経験しているので、全く問題にならなかったそうです。温かい食事はおいしくて、子どもたちが楽しそうに会話をしながら食べ、弁当方式の時に比べ残菜の量が半分以下に減ったということです。私たちも同じものをいただきましたが、グラタンがあったかいのには、ちょっと感動。今の食缶はとても保温性が高いのだそうです。

IMG_2866[1]さてその食事を作っている事業者も見せていただきました。献立は市の職員である栄養士がたて、5000食を2つの事業者で調理しますが、同じメニューで同じものができるよう、毎月「献立作成委員会」「物資選定委員会」を、教育委員会、PTA、学校の先生、業者が集まって論議し、なるべく地元の食材を使って、作業効率も悪くならないような献立や食材を考えるのだそうです。単価が安いのに注文は多くて大変でしょう、とうかがうと、「それが給食ですから」と、受け入れているとのことでした。食中毒などがないように徹底した衛生管理を行いますが、今日のミネストローネの具なども、機械切りではなく手で切っているとのこと。2000食くらいだからできることです。でも子どもたちとの直接のかかわりはないので、感想などは毎月の会議で間接的に聞くことができると言われていました。

最後に共産党の議員団の皆さんとも意見交換を行いました。共産党は最初から一貫して、「教育としての給食という見地からは、自校方式で、生きた食育を行えるようにすべき」と主張されているとのこと。私も、そう思いました。温かくておいしいという点では、性能のいい食缶で運ぶこともありだと思います。2000食くらいなら、手作りもいろいろできるでしょう。しかし、給食の役割はなによりも食育です。江戸川区で見てきた給食は、作る過程が見え、目の前の食事が自分たちの体を作っているということを実感させるよう、栄養士が独自に教材を作り、教室に行って直に子どもたちと会話をしていました。今の中学生にとってそれが何よりも大事だと思うのです。まして、川崎は中学生は3万人。センターを3か所つくるとしても、1か所1万食です。それは地産地消だの、手作りだの、とてもできません。やはり自校方式だと確信を深めた視察でした。