井口まみ
井口まみ井口まみ

「ふれあいプラザかわさき」を視察しました

IMG_3274川崎区日進町にあった「川崎市福祉センター」が老朽化し、そのなかにあった盲人図書館や障害者の作業所などをすぐそばに移転し、「ふれあいプラザかわさき」として、この4月に再スタートしました。移転と同時に指定管理者になった施設があるなど、いろいろ変化があったので、どんな様子か、視察しました。

ここには「視覚障害者情報文化センター」「日進町こども文化センター」「わーくす川崎」「かわさき老人福祉・地域交流センター」「川崎市シルバー人材センター」の5つの施設がはいりました。それぞれ指定管理者に運営を委託しており、福祉というくくりの中にははいるとはいえ、全く別々の分野の組織が入っています。

IMG_3869視覚障害者情報文化センターは、旧盲人図書館を指定管理にして、視覚障害者の支援を行うことにしたものです。長く蓄積されてきた点字の図書やデイジーとよばれる機械で再生するCDがたくさん保管され、貸し出されています。最近では映画の音声に副音声を乗せたシネマ・デイジーも作られていました。この施設の大切な仕事は、視覚障害になっても安心して暮らせる生活支援です。白杖をもって外出する訓練、自宅で料理や掃除をする訓練につきそい、できるようになるまで練習する。その支援員が減らされないかと危惧しています。指定管理というのはこういうことを心配しなければならないという問題をかかえています。歩行訓練士が1名しかいないというのは、どうだろうか、と問題意識を持ちました。

IMG_3279こども文化センターはどこも築30年以上のところばかりなので、こんなにきれいなこぶんはなんてうらやましい!とは思いましたが、子どもたちがわいわいと遊ぶには、廊下の向こうは視覚障害者情報文化センターで、静かにしなくちゃ、という環境なのではないかと思います。小さい赤ちゃんを連れたお母さんが、猛暑を避けて一緒に遊んでいました。

IMG_3280わーくすは障害者の作業所です。これもこの移転の際に市直営から指定管理になりました。施設長さんは「この4月に場所も移転、職員も全員いれかわり、ということで利用者さんたちは不安や混乱があったと思う。今はだいぶ落ち着いて作業できるようになっています」とご苦労を語られていました。障害者施設には医務室は必須ですがここにはないなど、複合施設の弱点だなあ、と思います。

老人福祉センターは各区に1か所あって、多彩な講座や習い事ができ、お風呂があり、一日ここで過ごすことができる施設です。ここに移転するにあたり、老人福祉センターとして利用しない時間を地域に開放するため、この機会に地域交流センターを併設した、とうかがいました。こういう形は川崎と高津だけだそうです。高齢者が使わない夜間や土日に一般に開放し、割と安い金額で貸し出すというのは一つの手だとは思います。この日はたまたまお風呂や各種講座がお休みで、人が少ないとのことでしたが、クラブ室は囲碁をやる人たちで、テレビがある部屋は冷房の中で高校野球を見る人で、それぞれいっぱいでした。

IMG_3282この地域交流センターの中にホールがあります。従前の福祉センターには広いホールがあって、そこで障害者団体の総会などがよく行われていました。このプラザのホールがフローリングなので上履きに履き替えなければならず、視覚障害者にとって難儀で困る、という要望が寄せられていました。館長さんにそれを伝えると「その要望はうかがっているので、視覚障害者の皆さんの大会は土足でもいいようにしたい」とのこと。お伝えしてよかったな、と思いました。しかし福祉センターの時は障害者団体の利用は無料だったのです。まだ課題が残ります。

IMG_3270最寄りの駅は京急の八丁畷駅ですが、ここからの道路には点字ブロックがありません。これも視覚障害者の皆さんから強い要望が上がっていましたのでしっかり歩いてみてきました。総じて、福祉施設の複合化はもう一つなじめないなあというのが実感です。なぜそう思うのだろうと考えましたが、ふと、障害者なら障害者、高齢者なら高齢者の施設として、「ここが私たちの活動の拠点」という気持ちを持てないからではないか、と思い至りました。この建物に来れば仲間がいて一緒に活動できる、という親しみやすさは玄関にはなくて、それぞれの入り口に手作りで飾ってようやくそういう雰囲気をつくる、という、間借りのさみしさみたいな感じ。使いにくさもそういうところからきているのではないか、と思うのです。これは私の感情だけでしょうか。

IMG_3922