井口まみ
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63回稲田つつみ寄席は円熟の芸を堪能しました

第63回稲田つつみ寄席を開催しました。もう63回なんですね。毎回50人から60人くらいで何とか続けているという感じですが、熱心に支えてくれている人たちとこんな小さな地域寄席に来てくださる芸人さんのおかげで、今回も開催できました。今回は円熟の芸を堪能した、という感じです。

IMG_1136前座は桂たか治さん。どう見てもまじめを絵に描いた、という感じですが、「のめる」というネタで、何とか相手をひっかけようという軽妙な掛け合いはうまかった。

IMG_1139二つ目は、今をときめく桂宮治さん。テレビでしょっちゅうお目にかかる、二つ目では最も有名な落語家さんです。出てくるなりお客をひきつける話術はさすが。カメラを向ければちゃんと答えてくれます。「熊の皮」というネタでおかみさんにポンポンとやっつけられるかわいそうな亭主に、おもわず同情してしまいました。

IMG_1176色物は太神楽(だいかぐら)。鏡味よし乃さんは、なんとうちの子と同じ年。神社に伝わるような神楽を習いたくて国立劇場の研修所にはいったら「傘を回すように言われた」という変わり種です。この若さで神楽だの太神楽をやろうとおもったのがえらい!修業が厳しいようですが、がんばれ!

IMG_1184とりは春風亭柳好師匠です。ここ10年ほど来られなかったので私はあまり記憶がないのですが、なんとつつみ寄席には15回めの出演。12月にふさわしく、大みそかに餅をつけない長屋の夫婦が見えを張って餅をついているようにみせかける「尻餅」というこっけいなネタで大いに笑わせました。ベテランの味わいでした。

IMG_1131普通、寄席では主催者はしゃべらないものですが、この寄席では財政を支えるために会員を募集するという大切な仕事があるので、私が席亭女将の役をやっています。今回はどうしても言いたいことがあって少し長くしゃべりました。

歌丸師匠が新聞紙上で、戦時中、戦意高揚にふさわしくないネタは上演禁止になり、そのネタを「はなし塚」に埋めて隠し、戦後毎年お参りをしてもうこんなことがないようにと思っていると語ったことを紹介し、「そんな世の中にしないよう頑張りたいと思っているので、ぜひ戦争法廃止の2000万署名にご協力を」と訴えたのです。落語は庶民の芸能。庶民の気持ちはしっかりあらわさなくちゃ、ね。