井口まみ
井口まみ井口まみ

医療とはどうあるべきか。長野県に視察に行きました

2007,11,12, Monday

2007,11,12, Monday

浅間山は雪をかぶっていました。新幹線の佐久平駅に降り立つと、寒いこと!今日は、共産党の市議団で長野県の医療の様子を視察に行きました。最初は佐久市。長寿の方が多いのに、その人たちが払う医療費が全国平均より少ないのはなぜなのか、を調べます。そのあと、安曇野市の県立こども病院の総合周産期医療センターを見学しました。
佐久市は、全国663市のなかで、男性の平均寿命は78・4歳で第1位。女性は83.7歳で第11位と長寿のまちです。65歳以上の一人当たりの医療費は全国平均が78万200円に対し、佐久市は65万2000円とのこと。65歳以上の多くの人が窓口一割負担ですから、一年間に全国の高齢者が7万8020円を病院に払っているときに、佐久市の高齢者は6万5200円ですんでいるということです。保険から出すお金も少なくてすむので、国保税(川崎では国保料)も全国平均よりも安くなっています。寝たきりになってしまう高齢者率も全国平均が5.33%ですが、佐久市は2.98%だそうです。
今日は市役所の担当者が都合が悪いということで、共産党の市会議員さんから説明を受けました。今の市政は介護援助手当を廃止したり、障害者への支援をまったくしていないなど問題はあるものの、長い間の地域医療の努力がこういう成果を生んでいるということを詳しくうかがいました。まず、生活改善。長野は冬の間寒い部屋に閉じこもってしょっぱい野沢菜を毎日食べていることが大きな原因で、脳卒中の死亡率がたいへん高かったのです。そこで、病院の先生方が地域に出て、減塩運動と、部屋をあたたかくする運動を始めました。また、町内会の役員に保健補導員という役をつくり、その人たちに研修を受けてもらって、健康診断を受けてもらうよう地域で進めるという仕事をしてもらっています。保健所の保健師の数も川崎よりもずっと多く、地域の中で、早期発見、早期治療をすすめていることが、この成果を生んでいるということでした。また、地域に病院が多いことも、かかりつけ医がいて在宅でも診療を受けられる条件となり、いつまでも入院しなくてもよいことが、医療費を少なくしている要因だということも言われています。
まちぐるみで、検診を受けよう、早く見つけて早く治療に行こう、元気で働き、趣味を生かした活動をしよう。こうしたことは、行政がしっかり意思を持って旗を振ればできることです。ところが国は、そしてそれを真に受けている川崎市は、検診の助成を大幅に減らし、医療費をドッと重くしていっそう病院にいきにくくしていきます。これはまったく逆だと思いました。
2007,11,12, Monday 2

そんな街角に長寿を願うお地蔵さんが立てられています。町の人はこのお地蔵さんにおまいりすると、元気で長生きができ、そして最期にはまわりに迷惑をかけずに逝くことができるご利益があるということから「ぴんころ地蔵」と呼ばれているというお地蔵さんをお参りしてきました。ほんとに街角の看板に「ぴんころ地蔵 こちら」とかかれており、参拝客がたえないそうです。なぜまわすとご利益があると聞いて、しっかりなぜてきました。
2007,11,12, Monday 3

高速で2時間走って安曇野へ。田んぼの真ん中にかわいいオレンジの屋根に時計台がある、まるでペンションのような建物が県立こども病院でした。県内の小児科の病院では手当しきれない子どもたちが紹介されてやってきます。病院全体が、子どもたちが怖がらないように、安心して治療できるようにと、やさしい色調で、ぞうさんやキリンさんが入口にいて、長期入院をする子どもの家族のための滞在用の建物もあります。
ここには川崎市もこれから整備しようとしている総合周産期医療センターがあります。超低体重で生まれてしまうなどハイリスク出産になるお母さんを出産から育児までケアする、もっとも高度な医療施設を持つ病院です。センター長の先生のお話のなかには、450グラムでうまれてしまった子どもが、元気に小学校に入学する様子も出てきました。NICU(新生児集中治療室)はどの都市も足りていません。でも、ただでさえたりない小児科医と看護士の手をもっとも必要とする分野のため、施設だけ作ってもだめというもので、なかなかすすまないのが現実です。そのなかで、この長野県立こども病院は、地域の病院と密接な連携を取る方針をつらぬき、どんな急患でも絶対に断らない。必ず命を助けるということをがんばってきたそうです。新生児の死亡率が全国1低いということがその成果を表しています。おりしも奈良でおきた痛ましい事件がまだ脳裏にあるとき、こういうことをはっきりという病院の先生がいらっしゃるということはどんなに心強いか、と思いました。
施設だけ作っても魂がなければならないということを、感じました。患者さんが来る。ベッドはこれしかない。医師はこれしかいない。どうするか。高齢者も小児医療も特効薬があるわけではなく、ポリシーを持ってその仕組みをつくることが必要だと感じた視察でした。
帰りは松本から中央線で。ひろ~い長野県を一日で一周したようなものです。新幹線と高速道路があればこそ。私が子どものころは諏訪から長野まで行くのに一日がかりだったのに、便利になったというか、せわしないというか。松本駅で新そばを食べて帰ってきました。