井口まみ
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川崎で飲み水ができるまで

2007,11,10, Saturday

神奈川県水道企業団が水を供給する施設である宮ケ瀬ダムなどを視察した翌日、共産党市会議員団で、今度は川崎市の水道の施設を視察しました。市内に3ヶ所ある浄水場のうち、長沢と生田の浄水場です。ここで、飲み水というのはどうやってできるのか、じっくり学び、水源が何なのか、ということが水道事業にとって大きな問題であることがよくわかりました。それを、私がなるほど!と思った道すじで解説してみたいと思います。
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川崎市は二つの水源を持っています。そのひとつが相模湖です。相模湖から川崎市まで、二つの導水トンネルをつくって、長沢浄水場(多摩区)と潮見台浄水場(宮前区)に送っています。このうち長沢浄水場には約30キロ余の距離を通って水がやってきます。この写真が長沢浄水場に着いて地上に顔を出した水。この水には自然の泥が混じっていてかなりにごっています。
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この水は、まず沈殿池に送られ、大きな泥の粒子を沈めて上澄みを「フロック形成池」に行きます。水にPAC(ポリ塩化アルミニウム)っていう薬を入れると、細かい粒子をひきつけて大きな粒子になっていくのです。広い池のなかを流れていくうちに、水に混ざっている粒が大きくなって、どんどん水が澄んでいきます。それがよくわかります。この薬は人体には影響がないそうで、便利な薬があるもんだ。
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これで濁度は国の基準をクリアできるそうですが、さらにきれいにするために、ろ過池に行きます。細かい砂の層をとおすことで、濁度は0・1度以下になるのだそうです。この写真は、約60時間ろ過に使った砂を洗っているところです。逆洗といって下から水を噴出して、砂の間に残った泥の粒子を追い出しているのですが、こんなに水がにごるんですね。それだけ泥を取り除いているということです。
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この水に最後に塩素を入れて、家庭へと送られます。水道水は家庭の蛇口で塩素の残留率が0・1%なければならないと法律で決められているため、塩素はどうしても必要とのこと。長沢浄水場の特徴は、これらのすべての行程を自然流水で行っていて、ポンプなど使う電気がほとんどいらないということです。集められた泥は、水をぎゅッと絞って、セメントの材料になります。手前が沈殿地で、白い建物が泥処理をしているところです。
さて、相模湖から取った水はこれで処理が終わりですが、水がもっと汚いと、活性炭を入れて臭いや汚染物質を取り除いたり、もっといろいろな薬品を入れて高度処理をしなければいけません。いっぽう、水がもっときれいであれば処理の過程が減ります。それが生田浄水場です。多摩川の伏流水を井戸から取っている生田の水は、泥がまじっていないので、沈殿地がいらず、ろ過池だけあればいいのです。地下水はミネラル分もあり、川崎市では簡単なろ過だけしてペットボトルで売っているほどです。生田浄水場のろ過池を視察しましたが、ほんとに透明で、ろ過池の洗浄も75時間に一回とのことでした。生田浄水場からは多摩区と麻生区と高津区のそれぞれ一部に供給されており、わが菅はこのおいしい地下水なのです。
いま、川崎市はこの水道の制度を抜本的に変えようと、事業が始まっています。給水量から言うと、ちょうど企業団から買っている水がまったくいらない状況で、水が余っています。そこで、生田浄水場を廃止し、地下水をやめます。潮見台の浄水場も廃止し、相模湖と企業団の相模大堰から来る水をすべて長沢浄水場に集め、企業団の水は相模川の下流から取るのでいまより処理過程を増やした新しい施設を長沢浄水場に作って全市に給水するようにするものです。それが本当に川崎にとっていいことなのか。おいしくて近い水をやめて、遠くて高い水だけにするのはおかしいのではないか。
このからくりを市民に知らせないまま、進めることもおかしいと思います。皆さんの疑問、意見をぜひ聞かせてください。