井口まみ
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委員会視察2日目は神戸市です

IMG_9510[1]まちづくり委員会の視察、神戸市役所にやってきました。みんなでいろいろとテーマを出し合ったので、3項目とよくばりました。

テーマ1 宅地耐震化推進事業について

阪神大震災、中越地震、東日本大震災などで、丘陵地の宅地が地面ごと崩壊するという被害が起き、大きな問題になりました。「滑動崩落」といって、何十年も前に谷をごっそり埋め立てて宅地にした「大規模盛土」で、盛土の土と地山との境に水が溜まって地震の揺れでそのまま全部滑り落ちるという現象です。川崎市の北部地域にもこの「大規模盛土」がたくさんあり、国が法律を作って対処しようとしていますが、なかなかすすまないので、実際に経験したところの対応を知りたいと思っていました。大震災の被害はやはり大きかったようです。宅地そのものなんて個人でとても直せるような規模ではなく、激甚災害の指定を受けて国のお金が入って、水抜きパイプを入れたり、滑り止めの擁壁を作って直したそうです。このとき、昭和50年以降に埋め立てた地域はほとんど被害がなく、その後、昨年までの調査でも、滑動崩落が起きる可能性のある大規模盛土は残っていないという結論になり、今の法律に基づく宅地耐震化事業は行わなくてもよいということになったと言っていました。昭和50年以降の盛土が安全だというのは神戸独自の判断で、他都市も該当するわけではないとのことでした。そうかあ。川崎市はやはり独自に対策を考えなければならないのかも。

テーマ2 橋梁補修マネジメントについて

川崎市の道路にかかっている橋もそうですが、できてから50年以上たっているものが多く、いっきに作り直すわけにいかないため、適切なメンテナンスをしてできるだけ長持ちさせる計画を作っています。震災もあった神戸市はどうしているのかとうかがいました。川崎市の対象の橋梁は600余ですが、神戸市は2000を超えるのだそうです。メンテナンスをするためにはまず点検をしなければなりませんが、直接目視で点検するためには、専用の車両と専門家が必要で業者に委託するため、全国の自治体と取り合いになり、費用も莫大でメンテナンスどころか、応急処置も全部できない、ということでした。予算がここでも問題になっているのでした。

テーマ3 神戸市空家空地対策の推進に関する条例

神戸市内の空家は約10万、空家率は13%。全国平均とほぼ同じだそうです。このうち腐朽破損があるのは約9500戸。おととし空家対策特別措置法ができて、一定期間(およそ1年以上)空家のまま放置し、特に危険だと判断される住宅に対しては法律で助言や指導、勧告ができ、それでも従わない場合は命令や撤去の代執行ができることになりました。神戸市は、この法律に上乗せして、空き地や、全く1年間だれもいないというわけではないが放置されている住宅も対象にすることや、所有者がわからない空家空き地については、市が応急処置できる条例を作ったのです。条例ができて1年。所有者に改善の依頼や指導、勧告を出したのが約600件。代執行は2件。所有者がわからないため応急的な措置を行ったのが6件だったとのことでした。川崎市も空家対策が検討されていますが、うーん、どうなんだろう。ただ人のいない家を撤去するだけでいいのだろうか。まちづくりってもっと必要なことがあるんじゃないか、と、いろいろ考えてしまいました。

興味深いテーマをいくつもわずかな時間でたくさん学んだので、改めてじっくりかみしめて考えてみたいと思います。川崎市の実態ももっとつかまないといけません。まちづくり委員、1年間楽しみです。