井口まみ
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まちづくりのフォーラムに参加しました

11月19日、「都市計画マスタープラン多摩区・麻生区構想改定に向けたまちづくりフォーラム」というのに参加しました。

都市マスタープランというのは、川崎市がこれからどんな年を作っていくかという基本の計画で、全体構想はできていて、次は各区別の構想を作っていきます。まず多摩区と麻生区に着手しました。9月に市民の意見を聞くワークショップがあって、そのまとめを発表する会をするとのことだったのですが、プログラムはまず、大学の先生と小田急電鉄のまちづくり事業部という人の講演、そしてワークショップのまとめでした。どれもとても興味深くて面白かった。

IMG_0644[1]基調講演を行った首都大学東京の饗庭伸先生の話はじつに興味深かった。まず人口。人口減少時代というが、なにも突然人々が死んでいくわけではない。ベビーブームに生まれた突出して人口の多い世代が、リタイアして生産年齢人口から外れ、そしてなくなっていく過渡期にいるだけだと。年齢別人口がピラミッドの形をしていたのは医療が発達しておらず、長生きできる人が少ないことを表しているのだと。資料で示された日本の人口の推移は、2025年には縄文土器のような形になっていて、一路逆ピラミッドになるわけではないのです。

IMG_0627[1]つぎに都市の大きさ。たしかに人口は減るので、住むところは余る。もう都市を外へ外へ作っていく時代ではない。しかし、都市は元の大きさに縮小するわけではない。外へ外へと建てた家の方が新しいのだから、なくなっていくのは中心に近い古い家。都市の大きさや形は変わらず、スポンジの穴のように、穴があいていく状態になっていく。そういう街を住みやすい街にしていくためには、住民が穴を埋める活動をすることだ。公共施設も大きな箱物ではなく、スポンジの穴になった空き家に何か作る、とか、空き家を公園にして良好な空間を作るとかという知恵が必要だといわれました。なんだか、共感。

仕事柄、では行政は何をするのかということが気になるところです。「人口が減るから行政サービスはできなくなる」と脅しみたいに言い続けている川崎市ですが、本当は違うんじゃないか。人口が減ったって、技術の進歩によって人の手を使わなくても生産性は飛躍的に向上しており、暮らしやすさは格段にあがっていくのではないか。当面高齢者が多いけど、スポンジの穴を埋めて、子育てしやすい町にしておけば、バランスよく、暮らせるのではないか。そんなことを考えさせられる講演でした。

IMG_0633[1]小田急電鉄のまちづくり事業部というのは今年7月に作ったのだそうです。電車と線路のまわりの店だけ考えるのではなく、沿線に暮らす人たちの生活全体をよくしていくことで、企業も潤えばいいと。確かに川崎市域の小田急沿線の地域は、40年以上前に開発されて今の住民は高齢化が進み、坂を上るのもたいへんですが、住めない街になるのを手をこまねいているのでなく、地域の人たちといっしょに済み続けられるまちにすることを、企業としても考えているのですね。ぜひいちど、もっと詳しく聞いてみたい。

IMG_0638先日のワークショップの報告は、皆さんの切実な声がしっかりまとめてあって、とても興味深いものでしたが、ここでは割愛。たくさんの思いが出されたことは、9月の私のこのブログでまとめてありますのでご参照を。

IMG_0645[1]興味を持って川崎市の人口ピラミッドを探してみました。ありました。最近出されたばかりの「川崎市総合計画第2期実行計画素案」という文書の中に2060年までの推計が出ていました。今のまま子どもを産む人が少ないという前提のままで、確かに人口全体は少なくなっているけれど、逆ピラミッドになっているのではなくて壷のようなかたちになっています。こういう人口構成でどういう社会を作るのか、まだ数十年あるのだから、若い人たちが子どもを生み育てやすい社会にすればこれも変わるのではないか、そういうことが見てとれることができると思います。それにしても今の推計で私たちの世代(今の55歳以上)の女性は100歳、110歳を超えてがんばって生きていけるのですね。私はどうしているだろう。