井口まみ
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生活保護について講演会を開きました

IMG_0934安倍政権が生活保護の基準額を引きさげることが社会問題になっています。これをいかにやめさせるのか、そもそも生活保護はなぜ必要か、を学ぼうと、17日、講演会が開催されました。

講師の稲葉剛さんは、90分にわたって、生活保護のそもそも論、いまの安倍政権がねらう制度の変質の中身、そして稲葉さんが現場でとりくんでいる運動の様子などをくわしく話されました。現場の様子は、私も取り組んでいるくらしの相談センターで日々見聞きすることと共通しています。生活保護が「最後のセーフティネット」ではなく「最初で最後のセーフティネット」になっていること、その生活保護の制度すら利用できずに苦しんでいる人がいること、それが国の政治のひどさから起きているという指摘に改めて怒りを持ちました。

IMG_1018稲葉さんのお話の中で、いまの生活保護法は、1947年にできたあと、1950年に改正し、「欠格条項」を廃止した、とありました。それまでは「勤労の意思がない者」「素行不良な者」「扶養義務者が扶養をなし得る者」等は排除する、とされていました。これが保護を利用する資格がないもの=欠格というわけです。しかし改正でこれらをすべて削除し、生活保護を受ける者に欠格者はいない、としました。なぜか。稲葉さんは「憲法が制定されたからだ」と言います。憲法25条はすべての国民の生存権を保障しています。昨日ギャンブルで負けてすっからかんになった人は、生活保護を受ける権利がないのではなく、生活保護を受けて支援も受けてしっかりと生活できるようになる。そういう国を作ろうと憲法が決めたのだと。稲葉さんは「私たちはいま、60年以上前の人権感覚を身につけているかどうか問われている」と問いかけました。

生活保護法に欠格条項がないことは知っていました。どんな人でも前歴にかかわりなく申請できると知っているから、どんな人でも連れて行っていました。でも、それが憲法の人権条項に由来することに、あらためて「自分の中に、そういう人権感覚があるか」と問いかける機会になりました。学習というのは、いつも自分の内面を映し出し、洗いなおすものなのだなあ、と思います。

いまもひとり生活保護の申請のお手伝いをしています。その人の人権を守る仕事と受け止めてしっかり取り組もうと思ったのでした。