井口まみ
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第70回稲田つつみ寄席、今回も大盛況

第70回稲田つつみ寄席を開催しました。用意した記念品が足りなくなる盛況ぶりでした。

!cid_D9F1AFC1-1FCC-4C36-8781-6D33A5F8A4E0始まったのは1975年。川崎からわざわざ新宿や浅草に行かなくても住んでいるところで落語を楽しもう、と始めた稲田つつみ寄席。いまは会場の都合で、お隣中野島駅前の町会会館をお借りしています。共産党の後援会も実行委員会のメンバーとして運営に参加して、歴代市会議員が顧問をつとめています。私は伝統芸能に敬意を表してできるだけ着物でいくことにしていて、顧問というより「席亭の女将」。赤石ひろ子議員も顧問になったので「大女将と若女将」のコンビです。寄席では異例の主催者あいさつがあるのは、これからも来てくださいね、会員になって支えてくださいね、と訴えるためです。

さて、今回も多彩な出演者で、ほんとに楽しかった。

!cid_91AD22A2-5064-4C9B-B705-2CF33D4AC97B前座は笑福亭茶光さん。つつみ寄席は2回目の登場です。ネタは「手水(ちょうず)廻し」。明石の宿屋に泊った大阪のお客さんが顔を洗うために「手水を廻してや」とご注文。「ちょうずとはなにか」。お寺まで聞きに行くと和尚さんがしたり顔で「長い頭の人をまわすことだ」!!茶光さんが腕を伸ばして頭を振り回したらほんとに長頭に見えたから面白い。話は大阪の宿屋で実際に手水を廻してみて、さらに困ることに。知らないなら聞けばいいのに、ね。落語のおじさんたちはほんとにかわいい。

!cid_D72ABBAA-B445-430C-8E65-C20AE371797E二つ目は春風亭昇也さん。3回目の登場です。BSの笑点で大活躍です。「庭蟹」なんて謎かけみたいなお題です。番頭さんが堅物の旦那さんに「洒落」を教えるのです。「庭に蟹なんてにわかに信じられない」って番頭さんが言うんですが。ああ、これがわからない旦那さん。罪がないよねえ。日常が芸能になる、なんて面白い世界。結婚できない師匠より先に結婚した昇也さんは、5歳のお子さんにメロメロだそうです。

!cid_533BA7B2-ECDA-482D-B933-09A01257A3A7寄席は落語の合間に「色物」がはいります。今回は紙切りです。21歳でデビュー2年目の林家喜之輔さん。あまりに頼りなさそうな若者です。お客さんからお題をもらいます。「ゴジラ!」。あんな細かいものどうやるんだろうと息を詰めて見ていたら、バッターボックスに立ったごつい感じの選手に拍手喝采です。

!cid_CA7BE41D-24D1-4607-BA40-AB530C3E4A4Fとりは桂文治師匠です。落語界では大変な大名跡を継いだ方で、70回記念にふさわしい方をお呼びできました。このつつみ寄席には最多の11回目の来演で、会場からも「おー!」の声。「ラーメン屋」という演目は、50年前に作られた新作落語です。師匠は多摩区で演じるということであえてこれを選んだそうです。1時間近いはなしに、みんな息をのんで、最後には涙を流して聞き入りました。子どものいないおじいさんとおばあさんがラーメンの屋台で無銭飲食をした無一文の青年をうちに連れて行きます。「おとっつあんと呼んでくれたら1000円出そう」「おっかさんと呼んでくれたら2000円」「初めてだねえ。うれしいねえ」と親子ごっこをして、長い夜を過ごすのです。ささくれていた青年は心があったまっていきます。おじいさんのうれしそうな顔、おばあさんの「私も私も」という顔、青年が穏やかになっていく顔。一人の落語家がただそこでしゃべっているだけなのに、狭い茶の間に3人がいる様子が手に取るように。あったかい心持でみんな会場をあとにできました。師匠はうちあげで「もっと人と人がつながればいいのにね」とぽそっと言われました。

やっぱりこれはやめられない。また半年後にやります。ぜひお越しください。