井口まみ
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まちづくり、再開発の勉強をZOOMで行いました

「NPO法人区画整理・再開発対策全国連絡会議」は1968年に結成されたまちづくり問題専門の団体です。高度経済成長期から住民無視の乱開発に異議を唱えて、住環境を守ろうと先駆的に活動してきたところだと、先輩の議員から教えてもらってきました。

IMG_2495毎年、シンポジウムや地方議員セミナーを開催し、今年も8月25日に議員セミナーがありましたが、コロナ対策でZOOMでの配信があり、私はこのZOOMに参加しました。いやはや、毎年ほんとに勉強になります。

第1講義は「コロナ危機下で都市開発はどこへ向かうのか」と題し、岩見良太郎・埼玉大学名誉教授が行いました。

IMG_2502岩見先生は、政府が近年すすめている、首都圏の異常ともいえる大開発の意図がどこにあるのかを解明。2002年の都市再生法によるメガロポリス構想、2014年の国土形成計画による立地適正化計画=コンパクトシティ構想で、東京一極集中、巨大な再開発を行い、ディベロッパーに巨額のもうけを与える仕組みであることを明らかにしました。その一方、人口減少を見越して骨太方針2020に端を発するSociety5.0という構想をもとに、徹底したICT技術の活用による新たなまちづくり=スマートシティづくりを進めていることも説明されました。いま、さんざんもてはやされているまちづくりのテーマです。しかし、その行き着く先はスーパーシティといって、小さな政府がビッグデータとAIを駆使して統治するまちにすることが目的だったのです。これは専制政治を生み出す、民主主義の問題だと言われます。すでにその先取りは始まっており、なんでもAIが選び、政策まで決めるという社会になっている。岩見先生は、そうではなく、生身の人間が生身の政治を行えるよう、しっかりと自覚を持つことがいま国民には重要であると言われました。

第2講義は「『雲をつかむような話』から『スケール感ある情報』を導く技術」。講師はこの道の達人、遠藤哲人・NPO法人区画整理・再開発対策全国連絡会議事務局長です。再開発の法的な仕組みを丁寧に説明し、実際に再開発の計画が持ち上がった時に、まったく情報のないところから、その計画の内容をつかみ、住民に必要な情報を分析する手法を明らかにする講義でした。議員として得ることのできる情報をどう取得するか、それを分析することによって、準備段階から、その計画のスケールを図り、住民にとって必要な再開発か、どれだけの税金が投入され、それは必要な負担か、などを理解することができるということでした。

最初は全く分からない話でしたが、2時間にわたってていねいな説明の中で「なるほど」と理解でき、そもそも今行われている再開発は、ただただ、公共が大手ディベロッパーのもうけのために、超高層建築物を建ててやるための仕組みであることがよくわかりました。とりわけ川崎市宮前区鷺沼の再開発の事例での説明が多かったため、川崎市長がどんなまちづくりをしたいのか、その立場がよくわかりました。住民に良かれと言ってやっているわけでなく、市民の税金を投入して空中にどんどん街を作ってもうけを増やしてやる。こんなまちづくりは何としても止めないといけないとよくわかりました。

学ぶことは明日の活動の源泉になります。いつもそう思いますが、とりわけどこにも行けない今年は、こういう方法もありだなあ、と思いました。慣れないZOOMの配信に四苦八苦された事務局の皆さん、ありがとうございました。