井口まみ
井口まみ井口まみ

京都でできて川崎でできないわけがない!

2009,04,10, Friday

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「うちの隣に壁のようなマンションができる!!」「あっという間に緑がなくなってマンションになった」という悲鳴があとを絶たず、「私たちのまちは私たちの手で守りたい」という人たちが集まってつくった「まちづくり・環境運動川崎市民連絡会」は、どんどんと仲間が増え、いまやまちづくりの駆け込み寺になっています。この「まち連」がこのほど開いたシンポジウムは、120名を軽く超える大盛況となりました。題して「京都の『新景観条例』から学ぶまちづくり」です。
京都市は、昨年、あっと驚く条例を作りました。市内のほとんどの地域の建物に厳しい高さ制限をかけ、無粋な20メートルだの30メートルだのというビルを建てさせない。屋上に看板を出さない、夜のネオンも禁止というのです。いくら世界遺産を抱えるとはいえ、かなり近代化した市街地で、そんな制限をかけるなんて、よくゼネコンや地主がだまっていたものだ。議会もよくぞ賛成したものだと、ずっと不思議に思っていました。その顛末を中心になってがんばってこられた弁護士さんが詳細に語ってくれたのです。
京都でもずっと「これまでの町に似合わない高い建物を建てるな」というたたかいがありました。古くはあの京都タワー。京都ホテル、そして京都駅ビル…。最初は文化人が動いた程度でしたが、だんだん地元の地主さんたちも加わるようになります。そう、自分たちのまちは自分たちが守らなければ、という輪ができていくのです。そして、20を越える地域で、小さなまちの単位で、「まちづくり憲章」とか「まちづくり宣言」が作られる。それがちょうど法律で作ることができるようになった「地区計画」や「建築協定」に発展していくのです。この町ごとの動きが、京都市全体を網羅する条例として受け入れられる素地になっていきます。
発想もユニークです。何でもいけないとしているわけではありません。世界遺産の社寺・城を含む38箇所を「視点場」として定め、そこから「大文字焼き」がみえなければいけない、とかだれもが「これは京都として当たり前」と納得できるようにしていること、すでに完成して人が住んでいるマンションが将来建て替えるときに高さ制限に引っかかる場合には、規制をゆるくするなど、これも市民の納得を得られるようになっています。
川崎も長い間町の人が住んで作ってきた、そのまち、そのまちの文化はあるのです。だから突然できるマンションに、激しい違和感を感じるのです。だとしたら、京都でできて川崎にできないわけはない。ここから何を学び、何を実現するのか、わたしたちのがんばりいかんだと思います。おりしも今年はわたしはまちづくり委員会に所属。さっそくマンション問題の陳情の審査があります。腕が鳴ります!